ドリーム小説
「ぼろぼろ。」
「頼むよい」
隊長が連れてきた、一人の男の子。
全身けがをしてないところはないくらいの大けが。
でも隊長はうれしそうで、楽しそうで。
ああ、また、弟が増えるのか。
そう思いながらもう一度、その”おとうと”を、みる。
ぐったりとして顔色は悪い。
でも、手は、体は、生をあきらめるようには見えなくて。
「大丈夫、助かる。」
私の言葉に、隊長はふわり、笑う。
隊長が望むなら、私の大事な家族が、願うなら。
私はそれをかなえるだけ。
ナースさんたちの手に負えない治療だけ終えて、後は彼女たちにバトンタッチ。
アフターフォローは彼女たちに任せれば完璧だ。
このまま安静を続けていれば、いずれ動けるように___
なるとは思っていたけれど、これは、ちょっと、想定外だ。
「・・・親父様。」
ぐららら、と親父様は笑う。
まだちゃんと動かないはずの体で、この男は親父様に敵意を向けた。
親父様が負けることはないと、知っているけれど、体は勝手に動いていて。
てい、っと意識を飛ばさせる。
困った、そう思いながら親父様をみるが、もう、それはそれは反抗期の息子を見守るお父さんのごとく。
好きにさせればいい、親父様は、ただ笑う。
彼が危惧しないのであれば、私がでる必要はない。
親父様に一つ、うなずいて、いつの間にか扉の外にいた隊長に男を預ける。
「困った末っ子だよい。」
言う割に、表情はでれっでれに甘い。
かわいくて、仕方がない。
そんな表情。
なんだか、大事なお兄ちゃんをとられたような、そんな感覚に、なる。
「くくっ、拗ねるな。」
隊長が私の頭をぐしゃぐしゃとなでる。
楽しそうに笑うのは変わらずに、でも、ちゃあんと私をみてくれていて。
「私は、弟は、いらないよ。」
私の言葉に、隊長はただただ笑うだけだった。
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