ドリーム小説
「だから、私たちは愛するのよ、あの子を。」
ナースは笑う、鮮やかに。
「誰よりも私たちを守ってくれるあの子を。」
ナースは告げる、誇らしげに。
「決して私たちを忘れることのない、優しい子。」
「つらいとき、気がついたらそばにいてくれる。」
「道を踏み外しそうになったとき、そっと正してくれる」
「姉と慕ってくれるかわいいあの子」
「大きな体で貧弱な力で、精一杯、私たちを守ってくれる。」
「だから、私たちはあの子の前ではいつだって笑えるのよ」
「だから、私たちはあのこの前で死ぬわけにはいかないのよ」
にぎやかに送り出す。
それが一つの別れでも。
皆で甲板で広げる酒。
少しだけ落ち着いた雰囲気は、一人のナースが消えたから。
そしていつもよりナースの人数が少ないから。
ここにいない彼女たちは、あの人物の所。
泣きつかれたあの者を、優しくあやしているのだろう。
あれは、誰か。
クルーたちの質問にはじめは答えるのを渋っていたナース達。
それでも、愛し子をどれだけ愛しているか、そんな話になれば口は軽くなるわけで。
「大事な大事な子なのよ。」
どのナースも口をそろえて告げる。
大事な子なのと。
愛しているのと。
その言葉はいかにあの存在が大きいかを知らしめていて。
いつから乗っているのか?
その問いに彼女たちは顔を見合わせる。
「私たちよりずっと前から。」
「私たちよりずっと幼いときから。」
「婦長の次くらいに長いのよ。」
誇らしげに、告げる。
気がつかなかったでしょう?
だって私たちが大事に大事に守ってきたんですもの。
クルーたちは皆、口をそろえる。
気がつかなかった、と。
知らなかった、と。
ナースたちの一人が、ゆるり、彼らを見渡して、穏やかに告げた。
「私たちの愛するあの子に、手を出したりなんかしたら許さないわ。」
あまりちょっかい出さないでね。
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