ドリーム小説











1 見知らぬ世界に落ちまして
















「そうか、死んだのか。」

ぽつりと口に出した言葉は大海原に消えていく。

拾ってくれる存在などなく、ただ青い世界にたゆたう。


記憶にあるのは向かってくる鉄の塊と必死に抱きしめた温もり。


もしかしなくても、自分はあの子を一人残してしまったのだろう。

あの平和でぬるい世界に、たった一人残っていた家族だというのに。


大好きだった兄が残した忘れ形見。

あの世界で自分が守るべき存在だったあの子は、たった一人自分を必要だとすがってきたあの子は、

あの世界で一人泣いているのだろうか。

ごめん。

ずっと守ろうと決めていたのに。

ずっと一緒にいると約束したのに。


両親が事故で亡くなって、兄と義姉も後を追うように事故で死んでしまって。

残されたあの子を守れるのは自分だけだったのに。


死んでしまったことは恐ろしいくらい簡単に受け入れられるのに、あの子を一人にしてしまったであろうことが、悔しくて仕方がない。


「ごめん、愛」


万人に愛されるように、そんな思いが込められて名付けられたあの子はとても優しくかわいく素直に育ったあの子は

これからどうやって生きていくのか。


目を閉じてあの子を思う。





どうか自分がいなくなった世界が少しでもいい、あの子に優しくありますように。

















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