ドリーム小説
12 あおくて蒼くて青くて
「とりあえず、着替えるよい。」
くたびれたようなマルコの声。
羽織らせられたシャツの前をとめられて、そのままいつぞやのように手を引かれる。
「エースさんは?」
「あいつは大丈夫だよい。」
少々心残りだったそれを聞けばとてもシンプルな返事。
そうか、と頷きながら引かれる手を見る。
きれいなきれいな青色
脳裏によぎった青。
あまりにもきれいなそれはもしかしなくても目の前のこの人が関係あるように思えて。
「さっきの青い鳥・・・」
「ああ・・・俺だよい。」
そっと問えば肯定の返事。
手を見つめるのをやめて顔を見上げるがその表情は読めなくて。
「あんなきれいな青、始めてみました。」
びくり、つないだ手が微かに揺れた。
「海より深くて空より澄んだきれいな色。」
「・・・気持ちわりいだろい」
小さくこぼされたそれにきょとりとする。
気持ち悪い?
それはなにを指しているのか。
「私は、きれいだと思いました。世界中の青を探してもこれ以上きれいな青はきっとどこにもない。命が輝く色です。暖かい優しい色。」
返事を返してはくれないが、確かに耳を傾けてくれていて。
どこかの部屋の前に立ち止まったマルコに向かってもう一度言葉を紡ぐ。
「また機会があれば見てみたいです。」
その言葉に一度強く手が握られた。
開かれた扉の向こうぐい、と強く引かれて放り込まれて、くるりと体が回転したかと思えば気がついたとき目の前には紫色の入れ墨がひろがっていた。
「俺の家族を助けてくれてありがとよい」
ぎゅう、と体に回っているそれが腕で目の前に広がるのが彼の胸だと気がついたとき、耳元でそうささやかれた。
それに込められているのは心からの安堵。
本当によかった、と。
ぎゅう、とさらに力が込められる。
痛いほどのそれにその想いがまっすぐに伝わってきて。
そっと背中に添えた手で何度も何度も背中を頭を撫でる。
と、ボッと音を立てて目の前に青が広がる。
怖いくらいにきれいな青が
触れても熱さを感じないそれは柔らかくて節がな手触りのそれは、どうしてか泣きたくなった。
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