ドリーム小説
3 この世界はどうやらやさしいものではないようです
死んでしまったと思っていたのはどうやら錯覚のようだった。
クザン、そう名乗る背の高い人物に近くの島まで送ってもらいそのままその場所で別れて。
(ちなみに彼はキコキコと自転車で帰っていった。)
ここからどうすればいいのか、全く持ってわからないがいい年にもなって頼るのも微妙な気分になったのでとりあえず目的もなくうろつくことにした。
が、それは路地裏に紛れ込んでしまった瞬間間違いだったと悟って。
自分の反射神経をこれほどほめたたえたいことはない。
それらがこちらを向く前に全力で踵を返して走り出した。
目の前で繰り広げられていたのはあの世界であれば許されはしなかったことで。
赤い赤い色を切り捨てる刃。
飛び散るそれらに動かない体に向けられそうになった視線に。
冷えた背中と走った恐怖。
その感覚は今までと何ら変わりなく。
「生きていた」頃と何一つ変わりなく。
じわりじわりと自分を浸食していった。
逃げられるなんて考えていない。
とりあえず少しでも自分に有利な場所に。
ただその思いだけで走って走って。
捕まれた腕。
振り向かされたからだ。
がむしゃらに動かした手足はうまいこと向こうに当たってくれたらしく。
そのまま相手が手にしていた「武器」であろうものを奪って___
気がついたときには赤い色を全身にまとった自分だけがいた。
戻る