ドリーム小説
6 目覚めた先はまた、見知らぬ世界
目を開いた先は見たことのない天井が広がっていて。
ぼんやりとする頭でなにが起こったのかを思い出そうとする。
そして思い出したその存在。
あわてて起こした体に走る痛み。
それでもそれを気にしてなど入れなくて。
ベッドから滑り落ちるように体を落として、足に力を入れる。
近くにあった気配が音に気がついたように近づいてくる。
閉じられていたカーテンが開いた瞬間、その相手を倒すために突進して。
懐に常に隠してあった小さな刃をそれに向かってふりおろす。
が、見事にそれは目の前の人物によって遮られて。
捕まれる腕と身動きのできなくなるからだ。
たたきつけられた床の上で唯一自由な目で相手をにらみつける。
それはあの宿屋でみた何ともいえない髪型の人物で。
「あの子を、愛をどこにやった」
押さえつけられてでそうになる悲鳴をかみ殺して放った言葉はかすかに震えていて少々情けない。
思うのはあのこのこと。
こんな訳の分からない場所に放り込まれてあの子は大丈夫なのだろうか。
怖がってはいないか、泣いてはいないか、自分を求めて呼んではいないか。
「あの子に何かしていたら許さない。」
心の底からの言葉に対して自分の腕を押さえる人物はため息をかえす。
いらりと沸き上がった怒りをそのまま口に出そうとすればぐっとさらに腕を締められて。
「っ、」
痛い、いたいいたい
口からでそうになるそれらを必死でかみ殺す。
「あいつにはなにもしてないよい。」
嘘か誠か。
さらに何かを続けようと口を開いたその男は、しかし外から聞こえてきた騒がしい音に口を閉じた。
「ちゃん!!」
大きな音を立ててこの部屋に現れたのは大事な大事なあの子で。
さっと目を走らせるがけがなどはしていないようでそれにはほっと息をつく。
「きゃー!マルコ隊長!ちゃんになにしてるんですかっ!」
現れたその子はあわてて自分を押さえつけていた男を追い払う。
そのまま地面にひざを突いて大丈夫かとのぞき込んでくる。
ああ、よかった。
この子が泣いていなくて、本当によかった。
「愛」
のばして引き寄せた体は確かに暖かくて、どうしようもなく泣きたくなった。
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