ドリーム小説


























 せかいはやさしくなどなくて  

        







突然私の部屋に姿を現した金髪ファンキーな髪型をしたその男。

海賊だと、偉大なる航海だと、なんだか意味の分からない言葉を並べたその男。

なかば脅しにもちかい言葉をはいて、なにもいえない私の家にその男は約一月もの間とどまり続けた。




そして現れたときと同様に、突如なんの合図も知らせもなく、私の前から姿を消したのだ。



私の心に苦く痛い感情だけ残して。















「もう、やだ・・・意味が分からない・・・。」

がっくりとひざをつけば、そこにはきた覚えのない砂浜。

目の前には青く蒼く澄んだ空と海。

理解できない出来事に対して、人間は早々にあきらめという感情を抱くのだろうか。

ぼんやりと熱に犯されながらそんなことを思う。

あの人が突然きて、わけのわからない言葉をはいた理由を、今ならば簡単に理解できて。

そして、あの人の身に起こることなれば、自分の身に起こってもいいわけで。

まあ、つまり、今の自分の状況を一言で説明すると、つまり、





私は今重度の迷子になってしまったみたいなのです。






残念なことに私は誰の部屋に現れたわけでもなく、ただ砂浜にぽいっと捨てられるように落とされたようで。

あの人にとっての私のような救い主はおらず、ただ自分で道を切り開かなければいけないようで。

待っていても進まないであろう状況。

それを甘んじて受け入れるだけの勇気も度胸も、私にはないわけで。

「なんとか、しなきゃ、なんだよね・・・。」

立ち上がって、砂を払って。

そうして前を見据えて。




もしこの世界が、彼のいる世界なのであれば、私は二度とあえなかったであろう、その人にもう一度あえるかもしれない。

そんな小さな希望にすがって生きていくくらいしか、私には生きづらい世界だったのです。








 1 その時が訪れるのを待つ話

















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