ドリーム小説



「何が来ても、僕が先輩を守りますからっ!」













泣き虫で怖がり。

でも頑張り屋さん。

そんな彼は今日も精一杯頑張っていた。



「あれ?先輩だけですか??」

「あら、金吾ちゃん。そうみたいですね。まだ皆さん来ていないですから。」


体育委員会の集合場所はなぜか毎回変わる。

というのも、委員長は大層動くのが好きだ。

気がつけばいない。

なので委員長がいる場所に集合、ということになっているのだ。

ということで今日の集合場所は裏裏山。

しかしながら三年生を迎えに四年生は不在。

二年生は今日実習のためお休み。

委員長はすでにいない。


さて、どうしましょう。


そう思っていた時に現れたのは一年生の後輩だった。




「あら、じゃあ金吾ちゃんはあの風魔の転校生ちゃんと同じ部屋なのですね。」

「そうなんです・・・でもなめくじが・・・」

空いた時間を使ってお話をする。

友達のこと、授業のこと、ご飯のこと、好きなこと、嫌いなこと・・・



他愛もないそんな時間がどうしようもなくいとおしい。


くしゃり、同じ部屋の子の困ったところを話しながらくしゃりと歪んだ表情がとても可愛い。

そっと頭に手を載せて撫でてやれば猫のように手を摺り寄せてくる。


「可愛いですね、金吾ちゃん。」


よしよしと撫でてそう言えば、目の前の金吾が固まった。

音をつけるなら

ガンッ

という音が出ていたであろう。

それはじわじわ涙目へと変わっていって。


「僕、可愛いって言われるの好きじゃないです・・・」


しょんぼりと肩を落としながら言うその言葉に成程、と理由を悟る。

男の子は可愛いと言われるよりもかっこいいと言われたがるものだと昔何かの書物で読んだ気がする。

かと言って今さらそう言うのもなんだかわざとらしいなあ、と思いどういいだすか悩んでいれば


がさり


近くの草が音を立てた。

小さなその音ではあったけれど、その場所には十分響いて。


「っ、」

びくり、体を揺らした金吾を後ろにかばおうと体を動かす、が。

「っ、先輩は後ろにいてくださいっ!」

小さな腕を精一杯広げてを守るようにいうものだからなんだか動けなくて。


「何が来ても、僕が先輩を守りますからっ!」


きゅん

胸が小さくそんな音を立てた。


がさり、再び揺れた草に、ひい、という声をあげながらも金吾は動かない。

がたがたと震えている癖に、それでもを後ろにかばうのはやめないようで。


「金吾ちゃん」


「な、なんですか?」

声を返しながらも決して視線を外さない彼。



「今の金吾ちゃん、すっごくかっこいいです。」






彼の顔が赤くなったのが後ろからでも見えました。






















結局草の先には小平太がいたよ。
それをみて
「金吾ちゃん、なにが来ても守ってくれるんですよね?」
「・・・ごめんなさい、無理ですうううう!!」
という会話をしているんだよ。