ドリーム小説
羊の皮をかぶった狼?いえいえ、もともと狼です。
「・・・しろ、ちゃん」
「んん?なあに?。」
ふわふわの白い髪。
私を見てふにゃり緩む表情。
少しだけ私より大きな背。
彼は私の大事な大事な幼馴染。
一目見た時はその白さに目を奪われて。
その柔らかな笑みに癒されて。
可愛い。
そう思ったのは一瞬。
そして、その口から吐かれる毒に胸を刺された。
「今日は私ちょっと用事があるの。だから___」
「あのね、。今日も僕委員会なんだ。まってて、くれる?」
私の意見は聞かないと、言外に述べられたそれ。
きっちりかっちり、私は用事があると述べているにもかかわらず。
とてつもなく残念なことに、聞いてはくれていないようで。
拒否の言葉は聞かないよ、という笑顔。
綺麗な綺麗な、可愛い害のなさそうなその笑み。
長年の付き合いによってそれがどんなものなのか、理解していてしまって。
それでも、それに口を出すことなどできないくらい、私は幼馴染である時友四郎兵衛を好いてしまっているのです。
用事といっても大したものではなく、まあちょっと物を買いに行きたかっただけなので。
いつものように教室でしろちゃんをまつ。
ふわふわの白い笑み。
言葉の中に含まれる棘のある言葉。
でもそれらのどれもを嫌いにはなれなくて。
笑顔を見ればほっとするし、
名前を呼ばれれば胸がぎゅうってなる。
手を握られれば心臓が音を立てるし、
見つめられればずうっとそのままでいたいと思ってしまう。
大切な大切な幼馴染。
そして私の想いの先にいる人。
彼を待つ時間であれば苦痛にも感じない。
彼の感情が私に向けられることはないだろうけれど。
「?」
ぼおっと窓の外を見ていれば不意にかけられた声。
視線を向ければ委員会の先輩がそこにいて。
「仙蔵先輩。」
「今日は用事があると言っていなかったか?」
問いかけに曖昧に笑えばそれですでに理解したようにため息。
「時友か。まったく・・・、お前も時には断らねばならぬぞ?」
しろちゃんに向ける私の気持ちを知っているこの人は幾度となく相談に乗ってくれて。
まあ、それを一度も大人しく聞いたことなどないのだが。
近寄ってきた先輩が柔らかく笑って頭をなでてくれた。
しかし、自分よりもはんぱなく綺麗な顔にそう言われるのはあれですが・・・
「まあ、あいつも素直になればいいものを。」
ぽつりと小さくつぶやかれたそれになんのことかと首をかしげる。
なんでもないと笑い返されて、そうしてふいと視線をそらされた。
「、帰るよ。」
先輩と会話をしていればするり、猫のように張り付いてくる何か。
「しろちゃん」
いつもなので驚くこともなく振り向く。
が、何故か目元を遮られてぎゅうと抱きしめられて。
「先輩、の相手してくださってありがとうございますね?」
そしてそのまま引っ張られる。
「わ、ちょ、しろちゃ、」
そのため先輩にあいさつすることすらかなわず。
「じゃあな、。」
仙蔵先輩の声を聞きながら教室を出て。
引っ張られる形になった腕。
顔が熱くなるのを感じながら大人しくついていく。
「ねえ、。」
他に人のいない靴箱にたどり着いて。
くるり、振り返るしろちゃん。
何事かと瞳を見返せば、まっすぐに射すくめられる。
「は、僕のだよね?」
気がつけば後ろは壁。
自分の体の横にしろちゃんの腕。
目の前に微かに首を傾げられた整った顔。
可愛いだけだった顔は、いつのまにか男らしさを帯びていて。
心臓がばくばくと音を立てる。
必死で意識をそらさなければ心臓が壊れそうで。
「ねえ、、僕を見て。」
ぐい、と顎を掴まれて、無理矢理向けられた視線の先。
「しろ、ちゃ、」
ふんわり、いつもの笑みはゆるり、歪む。
「僕の怯える顔だぁいすき。」
赤い舌がぺろりその唇を舐めて、艶やかな笑みに変わる。
「ね、、大好きだよ。」
だから
「他の人に触らせたりなんか、しないでね。」
四郎兵衛は真っ白でもまっくろでも美味しいと思う。
というか現パロにしたけどあまり意味がない。
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