ドリーム小説














あまとうおんな しんぱいしょう






















「三人とも、外はまだ明るいっていっても女が歩くにはおすすめできない時間だ。」

日吉君がそういう言葉を発するタイプには見えなかったので少し驚く。

驚きながらもへらりと笑えばため息をつかれた。

「荷物もってテニスコートまで来い。」

教室内に入ってきて、机の中から何かをとりだして。

そうして教室を出る前に背中を向けながらもそんな言葉をかけられる。

「・・・結構日吉って律儀だよね。」

圭ちゃんの言葉にコクリと一つうなずいた。






「あれ?ちゃんやん。」

「こんにちはー、忍足さん。」


三人で向かったテニスコート。
今日の練習は終わったのか、コート整備に追われる汗くさそうな集団。

「えらい遅くまで残ってたんやね?」

「友達と話してたら時間たつの忘れてたんです。」

あははと笑いながら答えれば、困った子だなあ、とでもいうように頭をなでられる。

気持ちのいいそれを甘んじて受けていればべしりという音とともに離れるそれ。

ついでに体にふれる温もりとぐるりと変わる視界。

いったい何が起こったのかとよくわからずしぱしぱとめを瞬かせていれば聞こえてきた、声。


「忍足さん・・・気持ち悪いです。」

「有士、それはちょっと・・・」


体にふれていたのは日吉君の腕。

ぐるり回った視線の先にはあきれたような生徒会長とそのほかのおそらくテニス部員の人々。

何が起こっているのか理解しきれずに顔を上げれば忍足さんに何ともいえない顔を向ける日吉くんと、おかっぱの赤い髪をもつひと。


「日吉もがっくんも、ひどい。」


よよよ、とどうがんばっても涙の見えない忍足さんが目元を押さえて泣き崩れる。

まあそれをさらにひどい視線でもって迎えるのは日吉くんと赤い人であるのだが。


「おい、おまえ等さっさときがえてこい。」


生徒会長がため息をつきながら言葉を紡ぐ。

それに会長の後ろにいた人たちがあわてて部室・・・?と思われる建物にはいっていく。

あれ?部室ってあんなに大きいもんだっけ?

そんなことをぼおっと考えていれば体にふれていた温もりが消える。

それと同時に見上げればため息をつく日吉君。

じっと見ていればばつが悪そうな、困ったような顔。

ぽん、と軽く頭をなでられて、そのまま何も言わずに日吉君は部室に入っていって。


「おまえ、有士に何か言われたらいえよ?」


赤い色の人がぴょこりとこちらをのぞき込んでくる。

驚いて思わず後ろに下がると先ほどまで近すぎた距離が程良い距離になって、その人のかわいらしい顔立ちが露わになる。

「わかったか?」

答えないに眉をひそめて再度問われる。

あわててそれにうなずけば、にかり、太陽みたいに笑う顔。

「じゃあな!」

ぐしゃりと乱暴になでられた頭。
そのままかけだして皆が入っていった部室の中に入っていくその人。

「三人とも、待っときな。」

最後にくしゃり、柔らかく頭をなでられて、忍足さんも中に入っていった。

「・・・ちゃん?」

「とりあえず、生徒会長と日吉君と忍足さんしか名前がわからないんだけど。」

「うん。らしい反応だ。」


馨ちゃんの声に思っていたことをもらせば圭ちゃんがからからと楽しそうに笑ってそう言った。



































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