ドリーム小説














あまとうおんな おかあさん












ちゃん。おはよう。」

「・・・はよう、ござい、ます・・・」


朝早く、まだが起床する時間ではないと言うのに鳴らされたインターホン。

一度目は無視をして布団に潜り込んだのだが、なりやまぬそれに仕方なく起きあがり玄関から顔を出す。

そこには朝だというのにうさんくさい笑みを浮かべるめがねの姿。

回らぬ頭で挨拶を返せば、案の定閉め忘れていたチェーンを怒られる。


そしてそのまま遠慮なく開け放たれた扉。

止めるまもなく全開だ。


「さ、朝ご飯やでお嬢ちゃん。」


腕を引っ張られあれよあれよ、デジャブを感じながら入る二度めの忍足宅。

一人暮らしの男の家にはいるな、家に男を入れるな、とさんざん口をすっぱくさせて両親に言われていたが、大丈夫、この人はお母さんみたいだし大丈夫だ。と言い聞かせて。


クロワッサンにスクランブルエッグ。ベーコンに野菜を添えて。

どこの女子だよ。

という朝ご飯。


「どうせ朝もちゃんとしたもん食べてへんのやろ?」


てきぱきとカフェオレを作って自分の前に置かれる。

そのままの前に座って手を合わせて一つ一つ丁寧に口に運んでいく。

えらく綺麗な食べ方だなあとおもいながらも自分ももそもそと食べる。

おいしい。

「はい、これお弁当。」


もそもそとまだ食べ続ける自分の前に、さっさと食べ終わった忍足がお弁当を差し出す。

つけていたエプロンを外して、後ろでくくっていた髪をといて。


「・・・お母さん!」

「せめてお兄ちゃん言うてな。」


思わず思った言葉をのまま発すれば苦笑を返されて。

「俺これから朝練やさかい、もう行くな。はい、これ鍵。」

てきぱきとえらく準備よくかばんを持って、ついでとばかり放られた鍵。

思わずキャッチして、はたと気づく。

「ちょ、忍足さん、鍵って!」

「かまへんかまへん。お嬢ちゃん別に悪いことせんやろう?それに食生活がひどく不安やさかい、面倒みたるわ。」

慌てて返そうとすれば押し返されて、そんな言葉を返される。

「でも、そこまで迷惑を・・・」

ここまでがっつり食事をもらっておいて何を今さらと言いたくなるが。

「ひとり分より二人分のが楽やねん。協力したってな?」

そんな言い方卑怯だ。

断れるはずがない。

「じゃあ、甘いもん、なんか作ってな。俺甘いものは苦手やってんけどお嬢ちゃんのは美味しかったし。」

ほな、と手を挙げてあっさり部屋を出ていく忍足。

ああもう、本当にお母さんだ!











こうやって私、はこれから先の食の安全を手に入れたのだった。


































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