ドリーム小説














2













ふわふわときれいに笑うその子は、同じ母から生まれたけれど、私とは全く違う外見をしていました。

綺麗な母によく似たあの子と、平凡な顔つきの父に似た私。


どちらがかわいがられるのか、それは一目瞭然で。


それでも私はその人が大好きでした。


とてもきれいでかわいくて、やさしくて、そして何よりも私を理解してくれる大切な存在。


あの世界に戻りたい、そう思う理由はあの子に会いたかったから。

そしてあの子も私を探しているはず、そう思っていたからです。


今まで来た四人の人たち。

その人たちが来た時には私はすぐに彼らの前に姿を現して聞いてました。


あの世界に帰りたいですか、と。



けれども今回はできそうもありません。


だってだって、どうしてできましょうか。


YESと、そう返された瞬間、私は愛しい片割れに刃を突き立てることになるのです。

どうしてそんなことができましょうか。


あの子はきっと私を見れば私の名前を呼んでくれるでしょう。

私を懐かしんでくれるでしょう。






そうして一緒に帰ろうと、そういってくれることでしょう。


そうして刃を振りかざした私を、私は一生許せないでしょう。








ですからですから、私はあの子が落ちてきてから一週間、いまだにあの子の前に姿を現すことができていないのでございます。








彼女が学園にいる条件として義務付けられた食堂の手伝いを、事務仕事を、陰から支えることしかできないのです。

美しいあの子に近づく忍たまたちを、ただ罠にはめることしかできないのです。









ああ、どうしてどうして、あの子とともにあるために帰ることを望んだ私を、もてあそぶように。















刃を手に、駆け抜ける戦場。


この世界を体験してしまえば、あの世界に戻ることはとても難しいのではないか、そう思いながらも、私は決してあの世界に戻ることをあきらめはしなかった。


だって、戻る意味があった。

戻らなければならない理由があった。



そう、だから私は何度も何度も刃を握り、また一つまた一人、命を奪う。




すべてはあの子と共に生きるため。




私が私であれるあの場所に、戻るため。




だというのに、あなたがこの場所に来てしまえばそれはもう理由ではなくなって。







ふわふわ笑うあの子を、遠くから眺める。






かわいい一年生たちをあやすその姿はまるで母親のようで。





あの世界にいるときはいつもあの子は私にあの笑みを向けてくれた。






愛しくて愛しくて、大事で大事で仕方がない子。
































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