ドリーム小説















箱庭のあの日々を、ただ想う。

暖かな日溜まりのあふれるあの場所を。

この汚れた手を握ってくれる幼子たち。

私を慕ってくれる後輩たちは、私の足枷となり、重く、重く引き留めてくれていた。




苦笑しながら道を示してくれた

私の拳を受け止めてくれた。

怒りながらも治療をしてくれた

ため息をつきながらも直してくれた

何もいわずに傍にいてくた


そんな、背を預けあうことができる友人たちは、私の中の獣が首を擡げる度、力付くでねじ伏せてくれていて。





でも、それは、もう、遠い過去のこと。




温かかった手の持ち主はは、どこにもいなくて

優しかった笑顔は、どこにもなくて




私を止めてくれる人たちは、ここには、いない




黒い火薬のにおいが立ちこめるこの戦場で、

私はただ赤い色にまみれて、立ち尽くす。





表には現れず、名を知られることはなく、存在を殺して主君のために生きろ。

忍として生きるのは、そういうことで。

兵士のように、敵に挑むではなく

主君の陰となり、囮となり、情報を得る。

死すときでさえ、ひっそりと。

そうでなければいけなかったというのに。


私の中の暴君は、想像以上に暴力的であった。





死すら恐れぬ忍がいる。

あの忍びが通った後は、屍しか残らぬ。

音もなく殺すではなく、圧倒的なまでの力で、ねじ伏せる。

忍びではなく獣である。



いつからか、私の仕える城にそのような言葉が投げられるようになり。

その証拠とばかりに、敵対していた勢力は血の海にまみれ。



独り、赴く戦場。

気がつけば、赤く、紅く、色づいて、私だけがたっていることが多々、あった。


主は私を讃え、同時に恐れた。


敵味方をも区別の付かぬ獣を、そのうちに飼うことを。

かといって手放すことすらもったいないというかのように。



もういくつめか、わからぬほどに落とした城。


その褒美とばかりに、私は一人の姫を与えられた。

























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