ドリーム小説
「お前は今日から忍のものとなる。」
半年ぶりに会う父様は、私の目を見ることもなく、ただ一言そういった。
姉様たちのように美しくも知恵もなく、
兄様たちのように強くも逞しくもなく。
ただ、道具として扱われることは理解していた。
他国ではなく、自分の国の、ましてや忍に与えられることになるとは想像してはいなかったけれども。
城に仕える人たちが私をもらい受ける彼の噂をたくさんいっていた。
夜叉のごとき力
鬼紳のごとき恐ろしさ
彼の後には赤い道ができあがり
敵味方関係なく手を下す
おかわいそうに、私に仕える傍女たちが何度もそうつぶやく。
私から解放されることに心の底では喜んで。
父様は、その忍を手放したくはなくて、それでも放っておくには怖くて。
だから私を褒美として与えると、そういったのだろう。
一時であろうと彼にとっての抑止力になれば、と。
何一つできない私が、彼によって命を落とすことになっても、惜しくはない、と。
「、と申します。小平太様。」
獣のような瞳を持つその人は、それでも確かに私を見つめていた。
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