ドリーム小説
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ちっちゃい彼女 弐
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ぴーちくぱーちく鳥の声がさわやかな朝に響く。
小雨がふる梅雨のとある日。
とある学校のなか、とある靴箱周辺で、一人の少女がうごめいていた。
「うぬぬぬぬぬっ・・・!」
手を伸ばせど伸ばせど、それは目的の場所に届かず。
精一杯背伸びすれど、相も変わらず背は小さくて。
「まったっ、なんっで届かないっ!?」
必死で伸ばす手中には一つの靴。
伸ばす手の終着点は靴箱の上。
どうやらはその靴を靴箱の上に乗せようとしているのだ。
といっても、「こいつ好きじゃないんだよね、よし、靴隠しちゃえ!」とかそういう理由ではない
歩いている最中、通学路の気になっていた果物に気を取られていれば、ばしゃりと思い切り右足を水たまりにダイブさせたのだ。
びちゃびちゃのまま歩いてきたが、さすがに帰りも同じ状態は嫌だ。
そう思い靴箱の上に必死に乗せようとしているのだ。
周りの誰かに頼めば?
だが残念。
は今日見事なまでに遅刻し、只今普通の生徒は授業の真っ最中である。
というか、気づけ。
今たとえのせたところで、次帰る時にそれを下ろすのはもっと難しいのだと。
だがかわいそうなことに、
靴を乾かす→高いところに乗せる。→あ、靴箱。→早く乗せて授業行かないと。
という考えしかの頭の中にはない。
なんというか、ちょっぴりかわいそうな子だ。
「うぐぐぐぐっ、誰か、私の、背を、伸ばせえ・・・!」
まったくもって無理な相談はしかし、なぜかかなえられた。
「うえっ!?」
ひょい
そんな効果音と共にいきなり上昇したの視点。
今まで届かなかった靴箱の上に簡単に目的のものを載せることができて。
「あれ?え?うそ!私背、伸びた!?」
いやいやまさか。
「っ、あははははっ!!」
思わず漏らした言葉に、これまた聞こえてきた後ろからの笑い声。
デジャブ
ゆっくりと顔を回せば、そこには銀色の髪、満面の笑み。
そしてまたゆっくりと自分の状態を見下ろせば、いわく小さな子にする高い高〜いだ。
これは、なんというか年頃の娘としていたたまれないものがある。
しかも抱きあげられているせいで以前よりもずっと近くに彼の顔があって。
ぶわり
一瞬で体中を駆けあがった羞恥。
それが顔に出たのだろう。
目の前の彼はさらにいっそう楽しそうに笑って。
「・・・降ろしてくれません?」
むすり、声をあげれば目の前の彼は素直におろ、・・・さなかった。
今までの脇のあたりに手をやって(本当に子供にする高い高いだ。)持ち上げていたのを、何を思ったか抱えなおす。
まるで肩に小鳥が止まるように、腰のあたりに片手を、もう片方をを腰かけさせるように持ち上げたのだ。
「え、ちょ、まっ!?」
先ほどよりもずっと高い視線に慌てる。
それをみて目の前の彼はにやあり、今度は、すごおく愉しげに笑った。
「小鳥、みたいですね?先輩。」
「っ!?」
そっとの耳元に口を近づけてそっと囁くように。
それはの羞恥を最大限に引き上げるには十分で。
ゆでダコのように真っ赤になったにくつりくつり、彼は笑い返す。
もう、なんで名前知ってるのか、とか、ちょ、小鳥なんかよりずっと重いから、とか、言いたいことは口から出ることなく。
「八。何してんだ?遅刻だぞ。」
玄関先からやってきた一人の生徒、(この間図書室で見たのとよく似た顔をしている気がする。)が目の前の人物に呆れた視線をやりながら声をかける。
「おう、今行く、三郎。」
ゆっくりと、ようやっと安定した地面へと足をつけることに成長した。
その頭をポンポンと軽く撫でて、彼は先ほどの少年と共に去って行った。
それが、彼との二度目の出会い
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