「鉢屋せんぱーい!!」



友人を呼ぶ声がして、思わずそちらに視線をやる。




1年生が二人、必死になってあたりを見回している。




発言と行動から推測するに、恐らく三郎を探しているのだろう。



また委員会か何かから逃げたのだろうか。





彼はあれで結構物臭だから、などと思いながら、覚えの在る気配に振り返る。




「三郎!」




そのまま駆け抜けようとでもしていたのかは知らないが、兎に角友人の腕を掴み取った。



一瞬驚きこそしたものの、すぐ側に1年生二人が迫っているので腕を振り解かれる。



思わず逃げられまいと足をかけて引き倒し、その上から押さえ込んだ。



「ちょ!、やりすぎだろ明らかに!」



「なにいってるの!黒木くんも今福くんも一生懸命探してるんだよ?どうして逃げるの、」



は怒っているせいで気付いていないけれど、肩関節が不吉な音を立てている。



それも無意識だというのだから恐ろしい。




「私だって委員会から逃げたいときぐらいある!」




堂々としょうもない主張をした三郎に、からはあきれた視線が送られた。



けれども腕が緩むことはなく。






結局、騒がしいその方面に視線をやった庄左ヱ門が二人に気付き、三郎はあえなく御用となる。













心の底から不機嫌そうな顔をして、三郎は肩を回している。




先ほどに押さえ込まれたところが、まだじりじりと痺れるのだ。


恨みがましそうな視線も送るが、しかしは少し拗ねた風にふい、と視線をそらした。




「三郎が悪いんだよ。1年生に迷惑かけるだなんて・・・・・、二人ともごめんね?」



少しばかり膝を折って視線を合わせ、本当に申し訳なさそうに言う砂糖色に、思わず二人は首を左右に振る。





最初は三郎が一人で地面を転げまわっているように見えて驚いたが、よくよく見れば何のことはない、が捕まえていてくれただけだった。




相変わらず不思議な体質の人だ、などと考えながら庄左ヱ門は琥珀色の瞳を見上げる。




兵太夫の委員会の先輩だと言う彼は、しかし所属委員会の委員長と仲が悪いらしく。



心配だ と彼が漏らしていたこともあるぐらいで。


頼りないのかと思えば決してそんなこともなく。


なんとも表現し辛いのだ。




不機嫌の直らない三郎を見て、はひとつため息を。




「今日の委員会、何する予定だったの?」



こてりと首をかしげ、揺れる砂糖色。



綺麗だとは思うが、忍としては目立ちすぎるのではないかとも思う。



それを目立たなくさせるのが彼の体質だろうか。




「今日は学園長先生の庵を掃除する予定で・・・・・」



返された言葉には、も苦笑した。



なるほど、三郎が逃げ出しそうなものだ。




「三郎、私も手伝うから逃げちゃダメだよ。5年生にもなって1年生を困らせないの。」



めっ と幼子を叱るような口調で。




それでも渋々ながら三郎は頷く。




何だかんだで彼は砂糖色に弱い。





じゃあ行こうね、と続け、掌を握られたときには流石に焦ったようだが。




!これはないだろ!」



「だめ!離したらまた逃げるでしょう!」



「逃げるか!!」




にぎやかに、傍から見れば微笑ましい言い合い。




当事者二人は結構必死そうだけれど、見ている側としてはほのぼのした気分にもなる。



庄左ヱ門と彦四郎は顔を見合わせて肩を竦める。



天才などと称される三郎も、の前では形無しだなんて。




先輩、学級委員になればいいのになぁ、」



「でも鉢屋先輩と同じクラスだから、一緒にはなれないんだよね。」


難しいよね。




言葉の割には浮かべたのは苦笑で。



視線を向けていた砂糖色が、不意に振り返る。




「黒木くん、今福くん」



ふにゃふにゃの笑顔が二人を呼んだ。



三郎は最早抵抗を諦めたのか、されるがままに片手を繋いでいる。




6年生が目撃したら全力でからかわれそうなものだ。




呼ばれた声に駆け寄りながら、そんなことを思う。





















きみにつかまる












「庄左ヱ門、私の右手は空いている。」

「はい?」

「あ、今福くん、私の左手も空いてるよ。」

「えぇ?!」





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輝きの灯火の煌那蔵さまに相互記念として捧げます。

リクエスト内容はさいあいのきみで学級委員か作法だったのですが、今回は学級委員で。
三郎が出張るサイトだと自負しております。実にすみません。
しかしこの三郎いつもに増して可哀想な扱いだな。
趣味が、趣味が丸出されているのです・・・・、申し訳ない。
すごく、楽しかったです・・・・・!

出来はこんなのですが、愛は目一杯詰め込みましたので、貰ってやってくださると嬉しいです。

これからもどうぞよろしくお願いいたします!



※※※※
わわ!!黒蜜豆乳プリンの壱衣様からいただきました!
相互記念です!!
な、何て素敵な!!
私には絶対かけない!
こんな可愛い学級委員会!
夢主である繭之助のかわいさ!
ありがとうございました!!
こちらこそよろしくお願いします!!