小説
  if〜

もしも婆娑羅の世界に忍たまたちが行ったら〜

管理人による完全なる趣味です。
NOT夢です。
婆娑羅キャラと忍たまキャラを絡ませたいだけです。
管理人に掴みきれていないキャラは悲惨なことになる、または出て来ないかもです・・・。
他のサイト様とかぶってない気がしません。
今回は1年は組です。
(続き書くかどうかも解らないです。)



それでもよろしければどうぞ。





_ 逢う _





「・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・。」

「・・・お兄さん、誰っすか?」

「えっ!?それ君が言うの?!俺様の言葉じゃないの?!」

自室の扉を開けた瞬間そこにいたのは紺に近い黒髪をもち、首元に布を巻いた、目つきの鋭い少年だった。
見知らぬ人物は警戒すべきであるのに何故かそんな気が起こらなくて。

「君どうしてここにいるの〜?」

「気づいたらいたんです。」

「気づいたら?・・・俺様は猿飛佐助だよ〜。君の名前は?」

「あ、俺知らない人には名前教えないことにしてるんで。」

「ちょ、俺様名乗った!名乗ったよね!?」

「・・・(ちっ)」

「ちょ、君今舌打ちした!?舌打ちしたでしょ!?」

「はぁ〜きり丸っす。」

「うわぁ〜その溜息傷つくんですけど・・・。」

「君は___「っ!!」!」

話しかけようとした瞬間に何かに反応したようにこの子、きり丸は顔を上げ、走り出した。

「んなっ!?」
俺様としたことがっ、思っていたよりも早い動きに反応できなかった。

きり丸が向っているのはこの城の城主であり、俺様の主である旦那だ。

すぐさまその後を追った。

旦那の部屋までの最短距離である天井裏に登り部屋の真上へと移動する。


「ぼくはしんべヱです!」

「しんべヱ殿というのか。某は、真田源次郎幸村と申す。」

と同時に聞こえてきた見知らぬ声。

(まさか此処にも、不審者か!?)

「旦那っ!」

すたりその場に下りれば、そこには

団子を口一杯頬張る二人の人間がいた。
  
片方は言う必要なく俺様の主だ。

問題はもう1人、見たことの無い人間だ。
  ぽっちゃりとした体型。
    柔らかな雰囲気。


その柔らかな笑顔にふ、と毒気が抜かれた。


「おお、佐助!こちらはしんべヱ殿と申す!何もない空間から突如姿を顕にされたのだ!」

「ええと、旦那・・・」

まず見知らぬ相手に突っ込もうよとか、なんで一緒に団子食べてんの?とか、何もない空間から出てきたって何?とか。
どこから突っ込もうかと考えていれば背後の襖が大きな音を立てて開いた。

曲者かと思い懐に手を入れ振り向けく。
そこにいたのは、先程の少年。


「銭っ!!」


とりあえず俺様現実逃避してもいいかな・・・。
眼を銭の形に変形させているきり丸を見てそう思った俺様は、間違っていないはずだ。





※※※
銭は幸村の六文銭です。
出会いはきり丸としんべヱ。





_ 現状把握 _

「始めまして。僕らは忍術学園1年は組のよいこたちです。」

そういってぺこりと頭を下げたのは眉毛が印象的な男の子。

(・・・ていうかそれ個人の紹介じゃないよねえ・・・。)

軽い逃避にはいっているのかまったく見当違いの所につっこみを入れている。

後ろに11人(屋敷中を探せば11人も見つかったのだ。)の男の子を従えて再び口を開く。

「僕は黒木庄左ヱ門といいます。は組みの学級委員長をやっています。」

其れを筆頭に後ろの子達も自己紹介を始めた。



       一斉に



「猪名寺乱太郎って言います、よろしくお願いします。」
「さっきも言ったと思うけど摂津のきり丸っ!好きなものは銭っ!お兄さん、其れ頂戴??」
「福富しんべヱだよ〜。好きな物はえぇ〜と、お饅頭でしょ、お団子でしょ、おうどんに・・・」
「僕は佐武虎若ですっ!鉄砲が好きです!!」
「僕は山村喜三太です〜。お兄さんたち蛞蝓さんは好きですかぁ〜??」
「加藤団蔵!馬が大好き!!」
「笹山兵太夫。からくりなら任せてください。」
「夢前三治郎!走るのが好きです。」
「皆本金吾!!ここにある刀見てみてもいいですか??」
「僕は二郭伊助です。・・・此処はどこなんでしょう?」


「聞き取れる分けないよねっ?!俺様おかしくないよねっ?!」
忍として生きてきた俺様にも聞き取れないほどそれらははやい。


「うむ、某は真田源次郎幸村と申す。此方こそよろしく頼む。この六文銭は残念だがあげられぬ。すまぬな。某も甘味は大好きでござるよ!!鉄砲とはまたすごい。某はあまり得意ではない故・・・。蛞蝓・・・は特に好き嫌いはござらんが・・・。馬でござるか?真田の騎馬隊はすごいでござるよ!からくりとはまた面妖な!だが某興味は持っておる!走るのが得意とは、今度競争でもしようではないか!うむ、かまわぬよ。刀であれば他にも多くあるそれらも見せよう。此処は真田幸村が城主上田城でござる!」

「・・・ごめん。旦那普通じゃなかったんだね・・・。俺様のほうが忍びなのに、聞き取れなかったや・・・。」
普通の武士(・・・?)である主に聞き取れたにもかかわらず、忍びである自分が聞き取れなかったことに衝撃を受け、あさっての方向を見た俺様に新しく声がかけられる。


「お兄さんもしのびなんですか?!」

「ん?もってことは__」
(そういえばさっき、忍術学園とか何とか言ってたっけ?・・・てか俺様先にそこ突っ込まなきゃいけなかった気がする・・・。)
「僕たちは正式には忍びの卵です。」
「忍者の卵、ねえ・・・」
「略して忍たま。」
「忍たま・・・。」

「なんと、そのようなところがあるのか?」
「俺様は初耳だよ〜」
(本当なら疑わなきゃいけないんだけどねえ・・・)
ちらり、彼らを見れば何故かきらきらとこちらを見ていた。
(・・・嘘ついてるように見えないんだよね、この子達。)

「・・・ところで忍さん。」
考えをまとめていれば自己紹介を始めにした子供、庄左ヱ門が口を開いた。
「ああ。俺様は猿飛佐助だよ〜。」
「では、佐助さん。・・・ここにドクタケ城という城はありますか?」
「ドクタケ城?う〜ん知らないなあ。」
「ええ!?お兄さん知らないの?」
「あのドクタケ城ですよ?!」

「やっぱり。」
「どうしたの庄ちゃん?」


「僕たちはどうやら違うところから来たらしい。」


それに皆驚いた顔をしていたが、其れを言った本人である庄左ヱ門は少し困った顔をするだけにとどめた。

「庄ちゃんやっぱり冷静ねえ・・・。」



彼らから聞こえてきた声に激しく同感した。
(ってか、こんなに冷静でいいの?!冷静云々の話?!)




「猿飛。此処はいつから委託所になったんだ?」

「何も言わないでくれると嬉しいなあ・・・」

彼らはもとの世界に戻れるまでこの城に滞在することになった。
ちなみに上記の言葉は某右目の旦那から頂戴した。




 _ 風魔 _


晴れた日。
庭での出来事。

「わああ〜お兄さん、すごく動くのが早いですねえ〜!」

「・・・・・・・・」

「僕ですかあ?僕は忍術学園、1年は組の山村喜三太っていいます〜。」

「・・・・・・・。」

「忍術学園ですかぁ?みんなで忍術をお勉強するのですよ。」

「・・・・・?」

「う〜んどこかと聞かれれば・・・ここじゃないもっとず〜っと遠く、ですよ。」

「・・・・・・。」

「風魔、小太郎さん、ですか?」

「・・・・・・・・・・。」

「わわ!僕も風魔の忍術学園で習っていたんです〜!偶然ですねえ〜!」

「・・・・・・・・。」

「はい!こちらはなめちゃんたちですよ〜。ほらなめ吉、なめよ、ご挨拶は?」

「・・・・・・・・。」

「わあ!すごいです!大きな鳥さんです〜!えっ!触ってもいいの?」

「・・・・・・。」

「うわあ!ふさふさで気持ちがいい〜!じゅんことはちがいますね〜。」

「・・・・・・・・・・・・・」

「え?もう行っちゃうんですかぁ?」

「・・・・・・・・・・・。」

「わあい!待ってます!また遊んでくださいね〜。」







「・・・猿飛。」
「何〜?かすがちゃん。」
「あれが伝説の?」
「そっ。伝説の忍び。風魔小太郎。だけどもあの子には優しいんだね〜。」




_ 剣術 _


青空の下聞こえてくるのは竹刀同士が交わる音。
青い着流しに片目を眼帯で隠す青年。
もう一方は胴着をまとう少年。




「っ、やあっ!」

「ほらほら。」

青年の方は着流しの中に片手を入れ竹刀を片手でもち軽い足取りで少年の攻撃をよける。


「てやあ!」

「よっ。」

少年は両手で竹刀をもち力強く何度も何度も打ち込み続ける。

「とりゃあ!」

「はっ。右が甘いぜ?」

「うわああ!?」

 __ズザア___


全力で打ちに行ったのが仇となり、竹刀の先がいなされる。
少年の体は慣性の法則に従いそのまま地面へと倒れ込んだ。



「はっ。もう終わりか?」

「っ、もう一本お願いします!!」

その返事に青年はにやりとした笑みを深めて言い放った。

「OK!Come here!」








乱 「政宗さんってすごいね!」
しん「でも金吾もすごいよ?」
きり「帰ったらきっと戸部先生びっくりするぜ?」








 _ 馬借 _

『此処の裏に馬小屋があるから、行ってきてもいいよ〜』

佐助さんに言われて僕はその場所へと向った。

「すごい、この馬!!毛並みがすごくいい!!つやつやしてる!!」

(僕のところのほうがすごいけどね。)
そんなことを思うのはたぶん身内びいきと言うやつだと思う。
(清八が言ってたんだ。)


「よいであろう?」

「幸村さん!」

聞こえた声に振り向けばそこには柔らかな茶色い髪を持ち赤を身にまとった幸村さんがいた。

馬を見、その体を撫でる姿はとても絵になるし、その馬たちを見つめる目はとても優しい。

「真田隊、しいては武田軍にとって馬は戦のための大事なものであるからな。」

「・・・戦の、ですか・・・?」

その言葉が幸村さんの口から出たのがなんだか悲しくて。

思わず俯けば頭に暖かい感覚

「団蔵のところにいる馬はきっと幸せだな。」

「え?」

「団蔵みたいに本当に馬を大事にしているもののところにいられるのだから。」

頭にある幸村さんの手の暖かさに、その悲しげな顔になんだか無性に泣きたくなった。

「よければ乗ってみるか?」

「いいんですか!?」

でもその後その言葉と共ににぱり、太陽のように笑う幸村さんがそこにいて。

この人には太陽が似合うと思った。




_ 罠 _


「うわあああ!!」

穏やかな午後。
庭から聞こえてきたその声にまたか、と溜息をつく。


始めてこの声が聞こえたときはすぐさまその場所に(文字どおり)飛んでいったが、今となっては彼の声は1日1回は必ず聞くような日常的なものと化して来ている。
だが放っておいても元凶であるだろう二人は彼を助けることは ない。(今までの経験上だ。)
仕方なく重たい腰を上げ、庭へと向う。

(今日はひっさしぶりの休みなのにねえ・・・)

そんなことを思いながら歩いていれば



「うおおおお!?」



 声が増えた。


「・・・・もう俺様、行きたくないんですけど・・・。」
思わずその場で柱に手をつき項垂れるくらいに。

明らかに今の声は、あの人だ。
熱血漢で甘いものが大好きでお館さま命でとりあえず燃え滾るように熱い、

俺様の主。

大きな溜息を一つ落として仕方なく再び庭へと足を向ける。

(なんでいつも引っかかるかなあ・・・)


とてとてて


廊下の先、今から俺様が向かう方向から二つの足音。

その足音の主を悟ると音もなく二人の前に降り立った。

「「わあ!!」」

素敵な二重奏。

「兵太夫、三治郎?俺様言ったよね?何度も何度も。」

「あははははは、佐助さん・・・。」
「何のことですか?」

三治郎は引きつった顔で笑みを浮かべるが、兵太夫のほうには反省の色どころか、自分がしたことすら認めていないであろう顔。

「乱太郎だけでなく、旦那がいつも落ちるからって、あんなに、あんなに落とし穴を作るなって言ったよね!?」

えへ

そんな効果音がつきそうなくらいの笑顔で二人は首を傾げて微笑んだ。

「だっていつも佐助さんが二人を助けてくれるから」
「いいかなって。」

その言葉に脱力すれば『ごめんなさい』という言葉と共に目の前に桃色の煙を出す物体が放られた。

「っ!?」

驚き反射的に口元を覆いその物体を外に向って全力投球した。

「三治郎!兵太夫!!」

さすがにぶちりと来て叫びながら振り返ればそこには誰もいなかった。


(佐助さ〜ん助けてください)
(わ!乱太郎、今日も派手に嵌ったねえ・・・)
(感心してないでくださいい・・)
(佐助!某も!)
(旦那自分で上がれるでしょうが・・・)



_ 鉄砲 _

縁側に座り武器の手入れを行う。
いつもの刀でけでなく今日は先の戦で手に入れた鉄砲も一緒に手入れする。

先程からずっと感じている視線。
気配が隠しきれないそれは恐らくあの坊主だろう。
ちらちらと俺を、否俺の手の中にある鉄砲を見てやがる。

「・・・」

「・・・」

「・・・」

「・・・」

「・・・見てえのか?」

その視線に耐えられなくなって声を掛ければその気配はびくりと震えて。

「!・・・はい。」

だが一拍後にはそっと隠れていたところから顔を出して確かに頷いた。

「こっちこい。見せてやるよ。」

その姿がなんだか異様に好感が持てて顔がほころぶ。

「!ありがとうございます!」

ぱあ、と明るくなった顔がこちらへと近づいてきた。

「確か、虎若、だったか?」

「は、はい!佐武虎若っていいます!」

「鉄砲がすきなのか?」

「はいっ!僕の村が鉄砲隊なんです!」

「ほお、鉄砲隊か。」

「お前はうまいのか?」

「人よりは少し・・・。」

照れたように後ろ頭を掻く。

さらに緩んだ顔を見られないように鉄砲を虎若の前に出してやる。

「見てもいいぞ。実を言えば俺には不要のものだからな。」

「わあ!ありがとうございますっ!」





_ 理由 _ 



幸村さんたちに借りている部屋の中。
いるのは僕と伊助の二人。

「・・・本当にどうしてこうなったのかなあ?」
「僕にも解らない。あの日は確か普通に予習していて・・・」

あのときのことを思い出すように頭をひねる。

「たしか校庭から爆発音が聞こえて・・・。」
「!先輩の焙烙火屋に巻き込まれたんだ!!」
「それか!」

思い出したそれらに二人で微かな喜びを味わう。

「・・・でも、其れが解っても、帰り方は・・・。」
「そうだね・・・。」


その答えにたどり着いたところで僕たちにはどうしようもなくて。

沈む感情をどうにも浮上させることが出来ずにいれば、部屋の襖が大きな音を立てて開いた。

「「わあ!」」

驚いて振り返ればそこには蒼く光る人。
逆行の所為で表情は見えないが、恐らくいつものような勝気な笑みを浮かべているのであろうことが、声の調子からわかる。


「Hey!庄、助。お前ら、あんま考えてもわかんないもんはわかんないだろうが。」
そう言ってどすどすと僕らの部屋に入ってくる。

目の前に立つと僕たちの頭をわしゃわしゃと撫でた。

(あ・・・鉢屋先輩みたい・・・。)

思わず頭に浮かんだ先輩。
さらに落ち込む感情に目の前の政宗さんが声を掛けた。

「ほら、外出て遊んで来い。」

其れと同時に持ち上げられる。


「わわ、政宗さん!!」
「でも、でも、・・・」
「子供はそんなに難しいことばっか考えてなくてもいいんだよ。」

『ゆーしー』といって政宗さんは不適に笑った。
僕も伊助もなんだか色々どうでもよくなって、顔をあわせて笑いあった。




婆娑羅組

なんかいつも旦那や大将に振り回されてばっかだから、・・・癒される。

なんでも好奇心で突っ込むのはいただけねえが、・・・其れが子供ってもんなんだろうな。

勝てねえのは解ってんだろうが、それでも懸命に向ってくる姿は、悪かねえ。

某よく落とし穴、というものに落ちるのでござる。なかなかすごい。気づけば空が遠ざかっているのだから。




_ だいじょうぶ _


 早く此処から帰ってあの暖かい学園に戻りたいんだ。
 此処はあまりにも戦場に近すぎる。
 記憶が蘇ってしまう。
 だからだから
 早くあの場所へ。

 あの陽だまりへ

「っ・・・?」

「き・・・?」

「・・り・・!」

「・・・りま・・!!」

「きり丸っ!!」

はっと目を覚ませば最近見慣れた天井。
ああやっぱりまだおれたちはかえれてないんだ
そのどうしようもない喪失感に耐え切れず涙が溢れそうになる。

「大丈夫だよ、きりちゃん。」

ぎゅうと暖かいものに包まれる。

「ぼくたちが一緒だよ。」

それは四方八方から。

「ちゃんと帰れるから。」

息がしにくいぐらいに強く。

「僕らはいつでも一緒だ。」

みんなの声も微かに震えてて。

「だって僕らは『は組』だよ?」

それでも彼らの声は俺の心に染み渡る。

「そんな簡単に終わらせない。」

ああそのとおりだ。

「おちこぼれっていわれるけど。」

其れが俺たちで。

「たっくさんの経験してきたよねえ。」

今までもそれらにいっぱい助けられた。

「僕らはその分強くなってる。」

俺も、みんなも

「僕らの絆が切れない限り、あの世界との絆も切れない。」

ああ大丈夫。

「「「「「「「「「「だから、きり丸なかないで」」」」」」」」」」

此処も俺にとってはあったかい場所だから。








同じ戦国 されど戦国

戦で荒れるこの世界にやってきたのは忍者の卵たち。
彼らはこの場所で人々に優しさを、温もりを、希望を見出させた。

忍者の卵なれど忍びは忍び。

その実力、個々にしてはたいしたことはない。
だが皆が合わさった時、その力は未知数

守り守られ、助け助けられ、支えあい支えられ、

   彼らは決して弱くはない。