ドリーム小説
音もなく降り立った先。
学園に貸せられた忍務を実習として行う。
そのため上級生になると、格段に実習が増えるわけで。
今日もその一端だった。
いつもどうり、何事もなく終わるはずの実習の、はずだった。
「Hey、三郎」
呼ばれた名前に身構えた。
ここは敵の場所で、自分のことを知っている者など一人もいないはずなのに。
音の発信源へ視線を向けるが、そこは暗い世界で。
月が雲に隠れた今宵は、忍びには都合よくとも人の顔を認識するのには不都合で。
ただ、わかるのは仲間たちではないということだけ。
「誰だ」
鋭く突きつけた問いに、微かな笑い声がかぶせられて。
「誰だ、とはひどいじゃねえか」
傲慢そうな声。
それでいてひどく愉しそうな音。
微かに、記憶に微かに上った誰か。
でも、こんなところにはいるはずがない相手で。
気配が、増える。
それもやはり仲間の物ではない。
くつり、さらに目の前の奴は笑う。
「囲まれたな。」
あっさりと言い放つそれ。
どうやら敵は、こいつにとっても敵であるようで。
じわり、つめられていく気配。
一人であれば逃げられたけれど、この目の前の男をおいていく、という選択肢がなぜかうかばなくて。
「Hey 三郎」
再度、呼ばれる。
それは命じなれている、主の品格。
「俺を、守れよ?」
言葉と同時に体は動いて。
男に向けられていたくないを一気に落とす。
ついで放たれる針を、刃を、薬を、男の周りから遠ざけて。
ああ、もう、私がこいつを守る必要なんか、何一つないはずなのに。
それでも、体は勝手に動く。
「三郎!」
呼ばれた名前。
呼んだのは、今度こそ俺の仲間たち。
ざんっ
八が、兵助が、雷蔵が、勘右衛門が、俺たちを囲むように降り立った。
勘右衛門が指示を出して
八が獣をけしかけて
兵助が刃を降りおろして
雷蔵が薬をばらまいた。
それで、終わり。
あっけなく落とされたその城。
倒れ伏す忍びたちを後ろに、俺に指示を出した暴君は笑う。
「久しぶりだな、おまえ等。俺を守った動きperfectだったぜ?」
呆気にとられて八が口をぱかりとあけて。
「どうしてここに?」
兵助があっさりと問いかけて。
「I don`t know.気づいたらいた。」
それに対する返答もあっさりだ。
「久しぶりですね、政宗さん」
にこにこと雷蔵が言葉を放つ。
つられるように政宗も笑う。
「・・・三郎、誰?」
そういえば、勘右衛門はあのとき一緒には行っていなかったか。
「___ここではない戦国時代で生きてる、一国の主様だ。」
私の言葉に勘右衛門はきょとりと首を傾けて。
「三郎を従えるんだから、すごい人なんだね、」
とのたまいやがった。
ここではない戦国時代、その言葉を疑問に思うこともなく。
一国の主という言葉に、何の反応を見せることもなく。
勘右衛門は政宗をみて。
「うん。でも、こういう人の元で仕えてみたいね。」
勘右衛門はそう言った。
八と兵助と話していた政宗の視線がこちらに向く。
その表情は非常に楽しげで。
「what your name?」
きょとりと勘右衛門は首を傾けて、そして同じように笑った。
「初めまして、政宗様。尾浜勘右衛門と申します。以後お見知り置きを」
主に忠誠を誓うかのように勘右衛門は片膝を着いて。
「いいねぇ!お前等、俺に仕えてみるか?」
政宗の言葉に勘右衛門はにっこりと笑って答えた。
「是非」
思わず勘右衛門の頭を斯波いた私は悪くないと思う。
※※※
ばさらと忍卵のクロスオーバー
拍手の続きで忍のところにばさら組がいくorばさら組のところに忍がいく。
リクエストありがとうございました。
だいぶん前にかいたものなのに、未だにいろんな人がコメントやらくださる作品でとてもうれしいです。
そして久しぶりに書いたらみんな口調がさまよっている・・・。
この後たぶん死に物狂いで政宗を探す出す小十郎がいると思われます。
・・・書き出したら止まらない。
今回は5年の絡みと1年生だけですがとても楽しく書かせていただきました。
ありがとうございました。
※謝罪
すみません。
実は関ヶ原はあまり把握できていません(ばさら2までの知識しか持っていない。)ので、今回蒼赤主従だけの登場です。(小十郎は不参加ですが。)