一周年リクエスト
アキラさま
『、喜八郎を見なかったか?』
『いえ、もう委員会の方に行ったと思ったのですが・・・行ってないようですね』
『見つけたら委員会室に来るように言っておいてくれ』
そんな会話をしたのが少し前。
今日は委員会も大切な仕事はないので少々遅れてもかまわないはずだ。
そう思い喜八郎を探しには中庭に来ていた。
「・・・絶対ここにいるよな・・・。」
中庭には無数の穴。
それこそ足の踏み場がないというのが正しい表現であろう。
その真ん中の方でいまだにざくざくと掘られる音が聞こえて。
一つため息をついてその穴のふちまで落ちないようにと移動する。
「喜八郎ー。」
ひょこり。
その穴をのぞけば案の定泥だらけの彼がいて。
銀色の髪がふわり揺れて、がそのまんまるい大きな瞳に映し出される。
その瞳に映ることにとくり胸が高鳴ったのを聞かないふりをして言葉を交わす。
「立花先輩が探してたよ?委員会に来いってさ。」
そう告げればゆるり、その顔が動いて、の向こうの空を見た。
自分が映らなくなったことに少し残念に思いながら再度名前を呼べば手を差しのべられて。
「引っ張って、。」
そういうものだから、仕方がないなあとその手を引っ張るため体を半分ほど穴の中にいれて彼の手をつかんだ。
とその瞬間。
「っわ!」
世界は反転した。
先ほどまでまぶしい視線をくれていた太陽の光は弱くなり、緑が見えていた周りは茶色くなっていて。
さらには目の前に紫色。
視線を動かせば大きな目がこちらを見ていて。
そう、つまりは喜八郎によっておもいっきり穴の中に引っ張り込まれたのだった。
「っ、喜八郎!」
驚きと、微かな怒りを込めて名前を呼べば、ことり首を傾げられて。
そうしてそのすぐ後にずずいと顔を近づけられた。
その近い顔に思わず顔が赤くなる。
心拍音が上昇する。
その綺麗な顔で、まっさらな瞳で見つめられては、の思考回路はまさにショート寸前。
「は嫌なの?」
至近距離。
息がかかるほどの距離で聞かれたそれの意味を理解できずにいればさらに首をかしげる喜八郎。
「私と一緒にいるのは嫌なの?」
再び聞かれたそれに、考える間もなく、仙蔵の言葉など忘れて思わず声を張り上げていた。
「嫌なわけ、ない!」
それにはっと気づいた時には時遅く。
ふわあり
めったにない満面の笑みがそこにはあって。
さらに顔が赤くなる。
そんな笑みをされたら、なにも、言えない
そんな顔を見られたくなくて思わず喜八郎の胸に顔を押し付ければぎゅうとまわされた腕がの体を強く拘束して。
「なら、もう少し、こうしてよう?」
そんな甘い声で甘えたような言葉尻で言われればうなずくことしかできなくて。
そっと体に回っていた手がの顔に触れる。
びっくりして喜八郎の顔を見れば柔らかな表情。
こつり額と額を合わせて喜八郎はつぶやく。
「とこうしてるのが、一番落ち着く。」
「お、れもそう思ってる・・・」
「のぬくもりが好き」
「おれも、喜八郎のぬくもりが、好き。」
「強がりなところも好きだよ」
「っ、俺を見てやらかくなる表情が好き。」
会話の応酬は恥ずかしいものばかり。
でも、それは温かいもので。
ぎゅうと珍しくその体をぬくもりを感じたくて、喜八郎に力の限り抱きつけば最後に告げられたそれ。
「全部、大好き、だよ。。」
恥ずかしいという感情もすべてかなぐり捨てて。
全力で思いを叫んだ。
「っ、お、れ、も!大好きだ!」
君といるのが一番___
アキラさまリクエストの甘い喜八郎とでした。
・・・個人的にはすっごく甘い。
のだけれども、どうでしょうか・・・??
なんだかパターンが読めてしまう・・・。
とても素敵なリクエストありがとうございました!
アキラさまのみお持ち帰りおけです!
返品だって受け付けます!
煌 那蔵