一周年リクエスト



紅音さま










「・・・暇、だな」

ぽかぽか日だまりが温かい午後。

は縁側でゆるりとした時間を過ごしていた。

委員会はなくいつもならば同じように休日を過ごしているはずの喜八郎たちは用事で不在。

さらには後輩たちと遊ぼうかとは組に向かえば庄がは組のみんなに全力で勉強を教えていて。

その背中には邪魔しないで下さいと書かれていた気がする。

そんな彼らの邪魔などできるはずもなくすごすごと退散したはこのように暇を持て余していた。

「・・・鍛練でもするか。」

そう思い立ち立ち上がろうとした瞬間、ひょこり後ろからのぞきこんできた顔。

、暇なのか?」

「・・・え、あ、っ!わわ!」

突然すぎてフリーズしたに彼は問いかけて、そしてが答える前にをひょいと持ち上げて走り出した。

色々早すぎる展開についていけないままは連れて行かれた。



「・・・」

とある部屋。

なぜかはそこに連れていかれて。

目の前には蒼色の彼。

「・・・」

なぜか彼はとても笑顔だ。

「ええと、」

「ん?なんだ、。」

「いえ、それ俺の言葉ですよね、尾浜先輩・・・」

「ん?」

「・・・勘ちゃん先輩。」

満面の笑みで聞き返されて慌てて訂正して。

そう。

ここは尾浜勘右衛門の部屋。

は突然現れた勘右衛門によって彼の部屋に連れて行かれたのだった。

目の前に出された湯呑からは温かな湯気があがっている。

が暇そうにしていたからな。少し話でもしようかと思って、さ。」

ふにゃり先ほどよりもずっと柔らかく笑った勘右衛門はそう言っての頭をなでた。

「・・・確か、に暇でした・・・。ので嬉しい、です。」

微かに視線を外してそっと告げればさらに生温かい目を向けられた。

と、何処からともなく何かが近づいてくる気配。

目の前の勘右衛門が一つため息をついて、そして何を思ったかを引き寄せた。


「わ、勘ちゃんせんぱい・・・?」


「勘右衛門ーー!!」

「わ!」

その気配は部屋の前で立ち止まりそのままの勢いでふすまを開けさらった。

そこにいたのは同じ蒼色。

ふわふわの髪。

でも、彼であれば決して浮かべることがないような表情。

彼はくわり目を見開いて叫んだ。

!お前は私の後輩だろう?!」

「三郎先輩?え、どうしたんですか?」

なぜだか怒り出した三郎。

でもその理由はわからなくて。

ぎゅうと勘右衛門の腕の力が強くなる。

それを見て三郎がに飛びついてきて。

「わ、ちょ、先輩??」

前には三郎。

後ろには勘右衛門。

のサンドイッチの出来上がりだ。

「三郎、が潰れちゃうよ?」

不意に現れた新たな気配にぺりりと剥がされた三郎。

首根っこを持たれて猫みたいである。

「〜〜雷蔵!」

その人物に恨めしそうな目を向ける三郎に苦笑する雷蔵。

「えらく人気者だなあ、。」

「あったかそうだなあ、勘ちゃん。」

その後ろから現れたのは銀色と黒色。

一人は無表情、もう一人はからりとした笑みを浮かべていた。

「いいだろ。」

頭の上に顎を乗せられて、まるでぬいぐるみを持つようにしては勘右衛門にくっつかれて。

「〜〜っ!!」

「へ、はいっ!」

大声で名前を呼ばれて慌てて返事すれば雷蔵からようやく解放された三郎が両手を広げていた。

「来い!」

「いやですね。俺は犬じゃないです。」

男らしいその言葉にときめく・・・こともなくは全力で拒否した。

それに一瞬落ち込んだ三郎だったが懐から何かものを取り出してに見せた。

「来い!!今なら饅頭をやる!」

「・・・饅頭。」

その言葉につられるようにふらり動き出した

にやりと笑う三郎。

苦笑する雷蔵と八左衛門

ぼっと見ている兵助。

そして、動き出したの手をつかんだのは例にも漏れず勘右衛門だった。

。」

呼ばれて振り向けば目の前にみたらし団子。

「俺はみたらし団子持ってるよ?」

流し眼で、微かに笑みを浮かべて妖艶に言った

「俺(みたらし団子)と三郎(饅頭)どっちを、取る?」

ごん

の頭の中に天秤が浮かんだ。

饅頭を取るか、みたらし団子を取るか。

にとって究極の選択だ。



「うわあ・・・」

にとって究極の選択だな。」

「・・・なんなら、豆腐でもいいぞ」

傍観者三人からもらされる言葉は同情にも近いものが含まれていて。

兵助は懐から白い例の物体を出してきて。


、どっちだ?!」

?どっち?」

「勘右衛門をとるのか?」

「三郎を取るの?」


ずずいと近づく彼らには答えられず、叫んだ


「っ、どっちもほしい、!です!!」

その瞬間にやりとてもいい笑みが二人からもたらされた。









「お疲れ様。」

すやすやと静かな寝息をたてるに雷蔵が掛け布団をかけてやる。

さっきまでさんざん三郎と勘右衛門によって遊ばれたため今はぐっすりと眠りについている。

「あの二人に好かれるって災難だな、。」

猫のように丸まったの頭をなでてやる八。

「豆腐みたいに白いな、こいつ。」

を優しい目で見ながら手に持った豆腐を口に運び続ける兵助。

「三郎も勘右衛門もあまり付きまとうと嫌われるよ?」

「それが私の愛情の表し方だ!」

「これが俺の愛情表現なんだよね。」

同じような言葉を言った二人は同じように笑って、そうしてを優しく撫でた。








たまにはこんな過ごし方












紅音さま、素敵なリクエストありがとうございました!
5年生で仲良し日常・・・こんなのでよかったでしょうか??
とても楽しく書かせていただきました。
紅音さまのみお持ち帰りokです。
もちろん返品だって受け付けます!

2010/2/18  煌 那蔵