一周年リクエスト




susuさま



















ひやり


額に感じた冷たいそれにはそっと目を開けた。

そこに映るのは木の天井。

(俺、どうしたんだっけ・・・?)

ぼおっとした意識の中、回らない頭で考える。

「目が覚めたのか?。」

いままで天井だったところにふわり茶色が映り込む。

それは心配げな表情でを見ていて。

「さぶろ、せんぱい・・・?」

出した声は自分でも驚くほど掠れていて。

起き上がろうとした体は重たくて言うことを聞いてくれない。

「っ、」

「そのままもう少し寝てろ。」

ひやり

ふたたび額に冷たい感触。

どうやらそれは三郎の手だったようで。

「え、と・・・」

「朝お前が起きてこないことを不思議に思った綾部と滝夜叉丸が倒れてるを発見したんだ。」

言われた言葉に、ぼんやりと頭を巡らせる。

倒れてた、のか?

それすら記憶にない。

「最近色々あったからな。疲れがたまったんだろ。」

手が離れていく感触を名残惜しく思いながら幾度かゆっくりと瞬きをする。

「さっきまで綾部がここにいたぞ。授業があるから戻らせたけどな。」

その言葉に、はたと気づいたこと。

「さぶ、ろ、せんぱい、は・・・」

「ああ、私たち5のろは午前中が実習だったから午後は休みだ。」

授業は大丈夫なんですか?

そう聞こうと思っていたのがわかったのか、返事を返されて。

だから気にするな

その言葉の後にくしゃり撫でられた感触が温かくて。

「三郎、はどうだ?」

からり

静かに入ってきた二つの気配。

そちらを見ればぼさぼさの銀色に三郎と同じ顔した彼。

「よかった、目が覚めたんだね?」

そっと三郎の横に座って濡れた手拭いを額に乗せてくれる。

「おかゆ、食堂のおばちゃんに作ってもらったんだが食べれるか?」

三郎たちと反対がわに座った八左衛門。

彼の手には温かな湯気を上げる鍋があって。

「たべ、る・・・」

ぐらり揺れる視界で起き上がろうとすれば温かな手が背中にまわされて。

、無理しちゃだめだよ?」

ふわりあったかい笑顔。

こくん

一つうなずいて八左衛門を見ればそこにはにかりとした明るい笑顔。

「ほら、あーん。」

目の前に出されたれんげの上には少量の白いおかゆ。

それを持つのは満面の笑みの八左衛門。

「・・・ん。」

出されたそれをぱくり口に含めば驚いたような気配。

見れば八左衛門はさらに笑顔で、次の一口を用意していた。

「はち、変われ。」

それを押しのけるようにして奪ったのはいつの間にか移動していた三郎で。

「ん、。」

口の中の薄味のそれをゆっくりと咀嚼して飲み下す。

ふう、と一つ息を吐いて再び口を開く。

三郎によって食べさせてもらったそれを先ほどと同じように咀嚼して飲み込む。

なんだか嬉しそうな三郎を見ながら何度かそれを続けるがまだ半分も食べないうちに何だかおなかいっぱいになって。

「も、いーです・・・。」

それと同時に襲ってくる眠気。

かしりかしり目元をこすればくすくすと笑う声。

雷蔵のものであるそれはゆっくりとを寝かせてくれて。

「薬、本当は飲んだ方がいいんだけど、まあいいか。」

「おやすみ、。」

「おやすみ。」

「ゆっくり休めよ。」


まどろむ意識の中その優しい声は耳に優しく残っていた。









次に目が覚めた時、何だか気分はすっきりしていて。

そうして思う。

「・・・なんで俺医務室にいるんだ・・・?」

先ほど誰かにも聞いた気がするがその答えは思い出せなくて。

はて、と首を傾げていればだれかが近づいてくる気配。

、」

開いた襖から現れたのは4つの紫で。

「もう起きて大丈夫なのか?」

心配性の彼がそっと尋ねてきて。

「顔色は大分良くなったねえ〜」

ふにゃり金髪が髪をなでてきた。

「無理はするなよ。」

綺麗な顔を歪ませて。

「ええと、俺なんでここにいるんだ?」

思っていたことをとりあえず聞けばあきれたような顔、困ったような顔。

そして無表情。

「朝起きてこないから見に行ったら倒れてたんだ。」

滝夜叉丸がため息をつきながら教えてくれた。

「記憶ないのか・・・」

三木エ門が呆れたようにそう言った。

「さっぱり。」

正直にいれば滝夜叉丸と同じようなため息。

「びっくりしたんだよ〜」

タカ丸はそう言っているが驚いているようにはあまり見えない。
年上の余裕ってやつだろうか。

「皆に心配掛けたんだな。ごめんな。」

そう言えばどの顔も仕方がないなあという風に笑って見せてくれて。

「喜八郎も」

さっきから一言もしゃべらない喜八郎に声をかければちらり、こちらを見てそしてそっぽを向いた。

「喜八郎、」

滝夜叉丸が再びため息をついて喜八郎に声をかけるがそれすら無視だ。



どうしようかと考えていればようやっと口を開いた喜八郎。

「晩御飯は一緒に食べるから。」

きょとり、その意味を取りきれずに首を傾げればこちらを見ないまま喜八郎が言葉を続けて。

には私が食べさせてあげるから。」



「・・・へ?」



無表情のままで告げられたそれにやっぱり理解が追いつくことはなく。

「さ、ご飯食べにいこ。」

淡々とした調子で告げる喜八郎にあれよあれよと食堂に連れて行かれ、

なぜか公の場所である食堂で無表情の喜八郎にあーんとされたのは大変な羞恥プレイだったとここに記しておきたい。












風邪引きさん















「ちょ、喜八郎?!なんなんだよ?!」

「鉢屋先輩にはしてもらったのに私からのは嫌なの?」

「は?三郎先輩にそんなことしてもらってない、ぞ?!」

「本当に?」

「し、てもらってない、・・・・はず・・・。」

(し、してもらった、のか・・・?!全く記憶にない・・・)
















susuさまリクエストの看病夢でした。
相手誰にしようかと考えまして結局5年生と4年生に。
熱のせいで今日一日の記憶が飛んでる夢主です。
そして三郎が食べさせてたのを見ていいなあと思った喜八郎でした。
大変楽しく書かせていただきました!
返品も受け付けております。
これからもよろしくお願いしますね。



煌 那蔵