「お前ら、それでも会計委員会かああ!!」
近づくにつれて大きくなるその声にはなんど方向転換をしようと思ったのか分からない。
でもそのたびに、この手に持っているのを渡さなければと思いなおしまた進みだすのだ。
「失礼します!」
怒鳴り声が響くその部屋に入るには多少どころか多大な勇気を必要としたがいざ、意気込んでは一歩を踏み出した。
そしてその数分後。
それが間違いだったと知る。
「なんだ!」
入った瞬間その怒りに満ちた顔に出会って思わず目線をそらした。
すればそこには涙目の団蔵にあきれ顔の三木。
その横で左門と左吉必死で帳簿を計算していた。
「・・・ええと、お届けものといいますか・・・」
こんな雰囲気の中渡すのもなあと思い言葉を濁せば邪魔をするなら帰れと言わんばかりの文次郎の目線。
「い、いつもお世話になっているのでそのお礼に甘味を作ってきたのでよろしければ召し上がってください!」
意を決して一息でその言葉を告げる。
すればきょとり珍しく年相応な文次郎の顔。
思わず笑いが漏れそうになるのを抑えてとりあえず目があった団蔵にそれを渡してやる。
「あ、ありがとうございます!」
嬉しそうな笑みに同じように笑ってやって。
そうすれば三木が横から声をかけた。
「、今日の朝早くから作り出したのはそれか?」
それにうなずけばありがとうと微かに笑って告げられる。
「潮江先輩、よければお茶にしませんか?」
三木の言葉にため息をひとつはいて文次郎はうなずいた。
「少しだけだからな。」
それにぱあっと明るくなる部屋の中。
「僕がお茶入れます!」
左吉が立ち上がりぱたぱたと奥に走っていく。
団蔵も包みを持ったまま奥へ走っていき
「少し片付けます」
三木が立ち上がり帳簿類を片付けていく。
左門は立ち上がろうとしたところを文次郎が押さえつけていた。
見事なチームワークに感心していれば目の前に置かれた湯呑。
「先輩もどうぞ」
左吉のそれにありがとうと微笑めば微かに帰ってきた笑み。
「お茶したらすぐに再開するぞ!、お前も手伝えよ!」
程よいぬるめのお茶に口をつけていれば聞こえたその言葉には固まった。
そうして解放されたのは今日がほぼ終わってからだった。