「久々知先輩、寒い中お疲れ様です!」
手に持ったそれを落とさぬように、硝煙倉の入り口にいた兵助に声を掛けて走りよる。
それを止まって待ってくれる兵助。
そばまで行けばほとほとと頭を撫でられる。
「も寒い中お疲れ。・・・手にもってるのは?」
きょとり首をかしげ尋ねる兵助にそれを差し出す。
「いつもお世話になってます。そのお礼です。皆で召し上がってください。」
差し出したのはホットチョコレート。辺りに漂う甘い匂いに兵助の顔がゆるむ。
「中も寒いけど入るか?」
誘われたので中にはいれば目の前で金色がまたたく。
「兵助くーん!寒いよー!」
飛び付いてきたタカ丸を支えることなどできるはずなく。
あわてた兵助に助けられた。
「タカ丸さん!じゃ支えられませんよ!」
「ふえ?あれ!兵助君じゃない?やわらかいね。あ、ちゃんだ!」
「タカ丸さん。それは俺に対する挑戦ですか。いくらでもうけてたちますよ。俺の腹に肉しかついていないとでも?」
「落ち着け、、タカ丸さん。」
いらりとして食って掛かれば兵助に止められて。
「どうしたんですか?先輩?あ!先輩だ!」
奥からひょこり水色がきて走ってくる。
「伊助どうした?」
それに青色が同じように出てきて。
をみて目を丸くした。
「伊助こんにちは。」
タカ丸をひっぺがして伊助を抱き締める。
「どうしたんですか?」
近付いてきた、三郎次に答えたのは兵助。
「これ持ってきてくれたんだ。皆で一緒に飲もう。」
甘い匂いに伊助の顔がぱっと華やぐ。さらには三郎次の頬もほころんで。
「ありがとうございます!先輩!」
「これであったまれますね」
温度の低い寒い硝煙倉に微かにぬくもりがともった。