「失礼します。」
そっと囁き中に入ればいらっしゃいと蒼色がお出迎え。
その優しい笑みにほわり心が解される。
「あ!先輩!」
ひょこり本棚の間から顔を出したきり丸が嬉しそうに駆けよってきた。
「中在家先輩いるか?」
頭をなでながら問えば奥にいると言葉をもらって。
お礼を述べて向かえば見つかった深緑と水色と青色。
微かに会釈されたのに返して長次に近づいた。
「・・・」
名前を呼ばれたのに挨拶を返してそっと手に持っていた包みを差し出す。
「いつもお世話になっています。お礼と言っては何ですがよろしければ受け取ってください。みんなで食べてくださいな。」
告げて渡せば無表情が微かに和らいだ。
ありがとう、その言葉と共に受け取った彼は思い出したように懐を探り出した。
なんだろうと思ってみていればそこから出てきたのは小さく包装された包み。
に向かって差し出されたそれに驚きながら受け取る。
「作った。ボーロだ。・・・甘いもの好きだっただろう。」
嬉しくて笑えばぽんぽんと頭をなでられて。
「先輩、ありがとうございます。」
久作と怪士丸の言葉に長次と同じように頭を撫でてやった。
「もらっていいんですか??」
いつのまにか後ろに来ていたきり丸と雷蔵。
腰のあたりに腕を回しながら尋ねてきたきり丸。
「皆で分けて食べろよ?」
「ありがとうね、。」
雷蔵のふわふわの笑みに自身も癒されながらどういたしましてと返事をした。