「食満先輩っ!」
向かった用具委員の活動場所。
そこには深緑は見つからず代わりに黄緑と水色が一つ。
「先輩?」
きょとり首をかしげる作兵衛の姿は大変かわいらしい。
「富松、他の委員は?」
尋ねればあちらで蛸壷を埋めています、とのお言葉。
「わわ!先輩が謝られることはありません!」
ごめんとつぶやけばあわててそんな言葉を返されて。
優しい言葉にその体を思わずぎゅうと抱き締める。
それに慌てる作兵衛を堪能していれば横からじっと見られている感覚。
みればそこにはこちらを見つめる平太がいて。
ちょいちょいと手招きすればぱっと嬉しそうな笑みでぎゅうと飛びついてきた平太。
可愛い二人に癒されていれば先ほど作兵衛が指差した先から声が聞こえてきた。
「おお、作兵衛に平太幸せそうだな。」
「あ〜!平太ずるい〜」
「僕も僕も〜!」
その言葉と同時に背中にタックルが入る。
突然のそれに体が傾く。
倒れる、と思い慌てて腕の中の二人をさらに強く抱きしめ目をつむればふわり温かな腕が回る感触。
走らなかった衝撃に驚いて目を開けばそこには深緑。
「こら、お前らいきなり飛び着いちゃだめだろ。」
留三郎がやさしく諭すそれにごめんなさいと謝る喜三太にしんべえ。
そのやりとりに思わず笑みを漏らせば腕の中でもぞもぞと動く二人。
慌てて手を離せば恥ずかしそうに目をそらす作兵衛にぷはりと息を吐く平太。
「ところではどうしたんだ?」
他の委員と一緒に留三郎の腕の中にいたに留三郎は不思議そうに聞いた。
それにようやっと本来の用事を思い出してしまっていた包みを取り出した。
「これ、皆さんで食べてください。」
渡せば不思議そうな顔。
「いつもお世話になっているお礼、です。」
「あ!しってます!南蛮では今日お世話になった人とか大好きな人にお花とかお菓子をあげる日なんですよね〜?」
しんべえが言ったそれにうなずけば優しく微笑む留三郎が目に入った。
「そうか、ありがとうな。おいしくいただくよ。」
至近距離でのその笑みは少々心臓に悪いと思いながらもいいえ、と返事を返しておいた。