春を待つ
雪解けは遠い。
以前は悲しくて悲しくて仕方がなかった。
今もまだ、さみしくて仕方ない。
でも、でも
「孫兵!」
欠けてくる五つの影。
「やっと見つけたぞ!」
猪突猛進、僕に飛びかかる左門。
「まったく、こいつらみたいに迷子になるなよ。」
呆れたように、疲れたようにため息を吐く作兵衛。
「竹谷先輩が呼んでた。」
左門の衝撃にこけそうになった僕をさりげなく支えてくれる三之助。
「迷い狼を見つけたんだって」
ふわり、笑う数馬。
「ほら、行こう」
楽しそうに手を差し出してくる藤内。
今もまださみしいと感じはするけれど、
以前のように君たちと一緒に冬眠したいだなんて思わない。
だって、だって
「孫兵」
僕のことを呼んでくれる大事な友人たちがいるから。
じゅんこ、春にまた会えるの、待ってるね。