小説
そうして世界は変化する
「大丈夫だよ。僕はこの世界に入ったばかりだから、この場所にいる。けれどもね、忘れないで。僕は、君たちよりも年上なんだよ。
君たちに比べたらとても弱い。その上無知だ。けれどもね、君たちを守ることはできるよ。僕は、君たちを守りたいんだ。君たちに守られてばかりなのは嫌なんだ。僕が僕であるために、君たちを守りたいんだ。」
僕には告げられることはなかった。
気づけば、同室者はいなくて。
布団の温もりはもうなくて。
僕以外に長屋に人影はなくて。
微かな気配と記憶そして勘を頼りに走り抜けた山の中。
見つけたそこ、いたのは彼ら。
向けられているのは刃。
倒れている二人。
その二人を守るように立つ1人の人物。
そこにいた彼は僕の気配を感じたのか微かにこちらを見た。
その瞳に浮かぶは微かな驚き。
感情を表に表わすことが少ない彼にしては珍しいそれ。
彼の、彼らの姿を一言で表わすならば、満身創痍、だろう。
緊張がこちらにまで伝わってくる。
その人物の前に降り立てば緊張がさらにまして。
擦れた声、響く音、それは自分の名前。
「タカ丸さん・・・。」
その言葉の中に込められた、焦りと驚きと困惑。
それに思わず笑みがこぼれた。
「もう、大丈夫だよ〜。綾部君。」
優しく伝えればその目は驚きに見開かれて。
緊張が途切れたようにその瞳は揺らいで。
ゆっくりと傾ぐ体を支えればその体はあまりにも小さい。
こんな小さな体に僕は守られていたのだと。
思うと同時に、体が震えた。
その体を倒れていた滝と田村の側に優しく横たえて。
「さて、この子達の御礼をしないとねえ〜。」
許してはあげないよ。
大事な大事なこの子達を傷つけたことを。
この子達の心にさらに一つ傷を増やしたことを。
死を持って償ってね。
僕は彼らほど、優しくはないから。
※※※
タカ丸は切れると怖いでしょう。
大事な大事な友人たちを、傷つけられて怒ってる。
そして何よりこういうときに役に立てない自分を嫌っている。
私の中でのタカ丸さんです。
ちなみに三木と滝が倒れていたのは綾部を守ってたからです。
綾部は二人に比べると戦闘力が低い。
なのでいつもはあまり前戦には参加してなくて。
だから突然現れた敵に反応するのが遅くって。
そんな綾部を守るために二人は戦って。
終わったと思っていたら、実はもう1人いて。
・・・だったらいいな、と。
説明入れないと解らない・・・。