優しき光に癒される
「・・・・・・。」
「・・・・・・?」
__なんだろうか。この可愛い生物は。
はそう思いながらその場から動くことができなかった。
昼時。
いつものようにご飯を木の上で食べ終えてさてさて、これから何をしてすごそうか。
そのように思い木から飛び降りた、瞬間のこと。
「わぁっ・・・」
聞こえてきた微かな悲鳴。
それは今飛び降りた木の根元から。
誰の気配もなかったのに、と驚いて振り向けば琥珀色した大きな目をぱちくりとさせる一人の少年・・・否、先輩がそこにいた。
服の色は紺。
つまりはの一つ上、委員の先輩である三郎たちと同じ学年・・・なのだが。
見たことがあるだろうか?
と、頭をひねっていれば、びっくりした、と呟くような声が聞こえて。
「すみません!気づかなくて・・・」
思わず頭を下げる。
それにその人は慌てたように声を掛けてきた。
「大丈夫だよ。私がここに居たのが原因だから。顔を上げてもらえるかな?」
そう言われれば顔を上げるしかなくて。
そっとその顔を見ればふにゃり、とまるで甘いお菓子のように柔らかく微笑んだ。
さらりと揺れた砂糖色の髪に、甘い笑みに、体中が沸騰するように熱くなる。
「っ・・・」
先輩だというのに、その人に形容詞をつけるとしたら、『可愛い』という言葉がぴったりで。
何故、今までこんなにも可愛い先輩に気づくことができなかったのかと、気づかなかった自分を怒りたくなる。
「どうしたの?」
先輩の笑みにやられてぼおっとしていれば、きょとん、と首を傾げ問いかけてくるその人。
その動作一つ一つが本当に___
(かわいい かわいい かわいい〜〜〜!!こんな風になんの裏もなく素直に微笑んでくる人、久しぶりに見た!!)
自意識過剰な笑みとか、何かをたくらんでいるとしか思えない笑顔とか、最近そんなのしか見ていない、にとってその先輩はあまりにも綺麗だった。
いつもはなりをひそめている、の中の数少ない母性本能が無意識に騒ぐほどに。
(ぎゅ〜って、ぎゅ〜ってしたい!)
思わずそんな考えが頭をよぎり、それを必死で押さえ込む。
と、気づいたこと。
「、先輩っ!」
「?」
一歩先輩に近づき、勢い込んで言う。
「先輩の名前教えてください!俺は、、です!」
聞いてないまま終わるなんて嫌だから。
きょとりとした後すぐに先輩はふにゃり笑って
「、だよ。。」
そう言った。
ふわふわした笑みはとても優しい。
「、先輩・・・」
思わずその名を繰り返す。
胸がぽわりと暖かくなった。
「あ」
不意に呟く声。
さらにはゆっくりと先輩が立ち上がるとこちらに向ってくる。
「え??」
不思議に思い其れを見ていれば。
「危ないよ。」
ふわり。
暖かい何かに包まれて。
すぐ後ろではぱしりと何かがはじき落とされる音がして。
「え?ええ?」
やっぱり状況把握が間に合わない李久に優しく彼は笑う。
「バレーボール飛んできてたから、ね?」
思っていたよりも至近距離だった。
それに顔が赤くなる。
でもそれ以上に、自分が気づかなかったそれに気づいたこの先輩の実力が見てみたい、とそんな思いに駆られて。
「先輩!手合わせ、しません?」
気づけば口から出ていたその言葉に先輩は一瞬驚いて。でもすぐに笑って答えてくれた。
「私でいいなら付き合うよ?」
その笑みはさっきまでとはちがって不敵。
柔らかい雰囲気はぴりりと肌を刺すものに。
先程思った母性本能はゆっくりと闘争本能に姿を変えた。
「大丈夫か?!李久!先輩っ!?」
そんな自意識過剰な体育委員会の彼の声が聞こえてくるまで後数秒。
壱衣さま!
30000hitおめでとうございます!
(10000hitお祝いのはずが、30000hitお祝いに・・・)
こんなんですが捧げます!
コラボ夢!
楽しんで書いてしまいました・・・。
が、なんというか、ええと、ごめんなさい。
あの可愛さは書き切れなかったです・・・。
しかも我宅のがえらく乙女・・・あれ?
おかしいなあ?
しかも最後のしめに誰を出すかで迷って迷って・・・。
最終的に何故か滝・・・。
壱衣さまのみおもちかえりokです。
2009/8 煌 那蔵