小説






探すのはたった一つの方法で














迷い込んだ美術館。


色とりどりの絵画達。


おいでおいでと伸ばされる手。


一緒に遊ぼうよと誘いかけてくる声。


私の命を少しでもむしりとろうと艶やかに笑う彼女たち。



ごめんなさい。



あなたたちをたくさん壊して。

あなたたちをたくさん傷つけて。





閉鎖された世界は、ひどく曖昧で、

出口を求めさまよう私たちを笑うかのように。



赤い薔薇

青い薔薇

黄色い薔薇






そうして、私は___




私はまたこの場所にいた。








一度目は、たくさんの絵画に追いかけられて赤い薔薇を奪われた。

二度目は、青い彼が私をかばって倒れて。

三度目は、黄色の彼女が泣きそうに私にパレットナイフを向けていた。

四度目は、黄色の彼女が笑って青い薔薇を引きちぎった。

五度目は、青い彼がいないなか、黄色の絵画に火をつけて。

六度目も七度目も八度目も、見つからない答え。




繰り返す繰り返す繰り返す。




誰かを必ず置き去りにして。









そうして、世界は繰り返されるの








目指す最善にたどり着ける気などしないまま。



それでも、何度でも誘われるまま、美術館の中をさまよい歩く。



どこの選択が違うの?


どこの選択が間違ったの?


何処に行けばいいの?


どれが正解なの?





どうしてどこにも三人ででられる道がないの?





「初めまして私はギャリーよ。あなたは?」

「私メアリー!よろしくね、イヴ!」




何度も何度も繰り返されるはじめましての挨拶。

私はあなたたちをとてもよく知っているのに、はじめましての言葉がひどく突き刺さる。




「怖いなら怖いと言っていいのよ。」

「私がついてるよ!イヴ!」



さしのべられる暖かな手。

柔らかな温もりは、くじけそうになる心にゆるり、広がって行って。



「二人だけで大丈夫なの?」

「イヴと私で大丈夫よ。」



大きな大きな分岐点。

あなたと離れてしまう場所。



あなたが、真実を知ってしまう時。






「もしも二人しかでられないとしたら、どうする?」



満面の笑み。

残酷で無邪気で、正しい問い。


私が望むのはたった一つなの。


二人しか出られないなんて、それが本当だなんて誰が決めたの?。





頬をたたいて、名前を呼んで。


私を、認識させて。


何度も何度も繰り返すそれら。





言葉や表情は違えど、結果はすべて変わることなく。





メアリーが望むことは知っていた。

ギャリーの心配も理解していた。






それでも、私は何度も選択するの。


最善の方法を探して。








もう見たくはないの。



目の前で倒れていくあなたを。



狂ったように笑う彼女を。



私を生かそうとするあなたを。



泣きながら叫ぶ彼女を。






あなたたちを失う喪失感を、もう感じたくはない。





もう一度、もう一度、



何度だって繰り返すのよ。






まだ、終わりなんかじゃない。





どこにも出口が見つからないなんて嘘だ。



まだ見つけられていないだけ。




私は探すのよ。


ギャリーとメアリーと、三人一緒に笑える世界を。


何度繰り返そうと、何度間違えようと。










一緒に、帰るの。




































ニコ動さんの「もう一回」みて、ぶわってなった結果。
何回も三人で出れる方法を模索してループするだけのお話。
イヴちゃんがとても男前な気がする。