ドリーム小説
逃げ脚だけは一流です 2
・・・なんかすごく厳重警戒だなあ。
薬を売るために立ち寄ったセントビナーでの第一印象はそれだった。
今までにも幾度か来たことがあるのだがここまでではなかったはず。
そう思いながら通行証を入り口の人に見せて。
そう、どうしてそのときに気がつかなかったのだ。
それらの軍隊がいつものマルクトのものではないと。
街に住まう人々がどこかおびえたような態度をとっていることに。
どうして不審者みたいな仮面をつけた緑と目があった瞬間思い出せなかったのだろうか。
薬をおいてくれるお得意さまのお店に向かって歩きだした瞬間、後悔した。
入り口にいる軍人に見えない場所。
そこに行った瞬間、掴まれた腕。
瞬時判断して振り払い、Uターン後、ダッシュ。
だがそれは残念ながらかなわず。
再びがしりと掴まれた腕。
「おや、またお会いいたしましたね」
自分が掴んだのに、ふてぶてしい言葉だなあ。
嫌々ながらに振り向いた先。
困ったように笑う緑色。
むすりとした顔の赤。
警戒を怠らない亜麻色
不思議そうな表情を浮かべる金色。
そして、満面の笑みのめがね。
あの森の中では気がつかなかった事実がじわり、沸き上がった。
あ、これ本編スタートだ。
がっつりばっちり。
この世界に生まれ落ちる前の記憶とか、しかも数回プレイしただけのゲームの記憶とか、そんなしっかり覚えてるわけないじゃないか。
ホドの崩壊
障気の出現
戦争
預言
そんなおおざっぱなことであれば覚えているがそれも結構曖昧で。
関わることなければ関わらぬままで生きていきたかったのに。
掴まれた腕はどう見てもはなされる気配はなく。
向けられる笑顔の裏に隠される感情はどうみても好奇心とか優しいものではない。
「さて、六神将たちも去ったことですし、お話聞かせていただきましょうか?」
疑問文のはずなのに、まったくもって疑問に聞こえないそれ。
いったいなにを聞きたいというのか。
視線をはずした先、みどりいろが大変申し訳そうに笑っていた。かわいいけど残念ながらこの状況でいやされることはなかった。
というか話はもうこの際構わないから頼むから仕事をさせてくれ、と切実に願った。
※※※
名前変換カタカナ用意してなくて大変申し訳ない。
back/
next
戻る