ドリーム小説
蒼の世界で生きる 助けたい
「隊長!!」
どうしても助けたかった、その人が、目の前で貫かれる、そんなのを見ていたくなどは、ない。
手を伸ばして、突き飛ばすように、赤犬との間に入り込む。
海楼石を手につける、そんな時間はないけれど、目の前に盾のように携えて。
熱く燃えたぎるその拳を体で受け止めるように。
願うのは、エース隊長の生
腹に、熱い、塊が、叩き込まれた、その瞬間
「「「っ!!」」」
響いた声は、誰のものなのか。
蒼が、白が、目の前に、広がって。
「っ!?」
倒れこむ体を後ろから支えてくれたのはエース隊長。
覗き込む瞳は驚愕の色。
じわじわと痛む腹を押さえながらゆっくりとその頬に手を伸ばす。
「エース、隊長、」
吐き出した息が、熱い。
それでも、ぬくもりがあまりにもうれしくて。
「けが、してないですか、」
ゆるりと頬を撫でればその手を支えるようにエース隊長がふれてくる。
「このばかっ」
久しぶりに会うのだから笑ってほしい。
そんなバカなことを思う。
「エース、」
隊長の後ろからひょこりと顔を出した麦わら帽子。
それは隊長に何度も見せてもらった弟の姿で。
「ルフィ、連れて先に行ってろ。」
隊長の手から離されて、一回り小さな手に抱えられる。
柔らかなぬくもりは急速に眠気を誘って。
わかった、と上から承諾の声。
同時に感じる浮遊感。
彼の言葉に込められる絶対的な信頼感の色。
それは彼らのきずなの強さを表していて。
ざわり、あたりの空気が急速に上昇する。
暑い暑い、それは、隊長から発されるもので。
ゆるりと熱い腹を見れば、そこには焼け焦げた服の奥、大きなやけどの跡が見えて。
それは、あの夢で見た、隊長が負った傷よりも、ずっとずっと軽いもの。
そして、目の前で、エース隊長は確かに生きていた。
ゆがむ世界の中、赤犬と向きあうのはマルコ隊長にサッチ隊長。
そしてエース隊長。
地面が揺れる、ぐらぐらと響く声。
「俺の大事な息子だけでなく、娘にまで手を出すたあ、おめえら覚悟できてるんだろなあ!!!」
蒼が、紅が、空と交る、世界が動く。
抱えられた腕の中、ただ思う。
わたしは、みらいを、かえることが、できたのだろうか
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