ドリーム小説
配達ギルドのあれこれ
名前を聞き出すため一緒の宿に泊めようとする彼らをそのままに、私は配達ギルド、カプア・トリム支店で部屋を一つかりた。
そして明日に備えて寝ようかと準備をしていれば、ギルド員に仕事だ、と渡された手紙。
送り主に名前はない。
ただし、宛先には私の名前が。
「あー・・・・・・」
心当たりがないわけじゃない。
むしろばりばりある。
大事なお得意さまで、大切な依頼者。
でも、私も人間なわけで。
好き嫌いはもちろんある。
嫌いな訳じゃないけれど、好きかと言われるとちょっと考え込んでしまうから。
あえていうなら苦手な相手、とでもいおうか。
でも、__たった一人、今まであった中でたった一人、私が探し求めている捜し物を、知っているかも、しれない人でもあって。
人の心を届ける配達ギルド。
それだけでなく、私がこの人の依頼を受けるのは__
「やっぱり、温かい人だよね、ユーリは」
だって、誰かのために動けるんだもの。
私はいつだって
「自分のため以外には動かないんだ」
手紙には、場所と時間。
それだけ確認して、手紙には火をつけた。
配達ギルドと秘密の手紙
「毎度おおきに、配達ギルド〜」
「来たか」
「お待たせしてしまって申し訳ありません〜」
夜、トリムへの道から少し戻った人の目に付かないその場所に、目的の人物はいた。
銀色の髪は月明かりを反射し、きらきらと光る。
「あの手紙を忘れてはいるまいな」
向けられた視線は鋭く、温度はどこにも感じられない。
にっこりと向ける営業スマイル。
相手の気力を消失させると我がギルドの首領お墨付きだ。
「時がくれば、あなたの指示通りに」
少し目を伏せて応えれば、満足そうな声。
「君の捜し物の手がかりになるやもしれん。デュークという人物に会ってみろ」
少しのお駄賃、とばかりに漏らされた言葉。
”デューク”その名前を頭に刻みつけた。
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