ドリーム小説







向かいの家のおうち事情  








 巻き込まれた



「え、なに。なんで工藤家あんなに囲まれてんの?」

今日の分の仕事を終えて、一息つこうかとコーヒーを入れて。
2階の窓から見おろした先。
いつも通り変わらぬ向かいの大きな家、のはずだったのに。
なぜか、その玄関前にたむろする黒服の男たち。

「えー、なんなの?沖矢さんなんかやらかした?」

つぶやいてみたら思った以上にあり得そうで思わず独り言も止まった。

「・・・とりあえず、お裾分けしようと思ってた大根、もってこかな」

前日からつけておいてしっかりと味が染み込んだ大根の入った鍋を持ち、家から出てみれば、やっぱりたむろする黒服たち。
どうやらスーツらしいってことはわかるけれど、それでも彼らが一般人には見えなくて。

というかこんな住宅地にこんな人等いたらびっくりするわ。

突然出てきた私に彼らは驚いたようだが、工藤家の中をうかがっていた体勢から立ち上がり、ぺこり、こちらに頭を下げてきた。

おや、なんだ悪い人たちではないのか。

「たのもー」

そのまま彼らの間を通り過ぎ___

ピンポーン、とためらいなく呼び鈴を押した。

「ちょ、」

「まって、」

私の一連の動きを眺めていた黒服が驚いたように声を上げた。

「え、なんかありました??」

「ええと、あったというか、あるというか」

「どっちかというと現在進行形というか・・・」

思わずこちらも驚いて声を上げれば、なんというかしどろもどろな返事が返ってきて。

しかしまああまり関係なさそうだ。

がちゃり、目の前の扉が開かれ、そこから姿を現した沖矢さんに___

「・・・」

「・・・」

誰だこいつ

おそらく思ったのはお互いに同時
金色の髪。
反するような暗めな肌。
暗がりの中、玄関の灯りだけでもわかる。
すんごいいけめん。

「誰だ?」

「あれ、それこっちの言葉じゃないですか?ここ工藤家ですけど。・・・向かいの家のものですー。」

でもイケメンにそんなきっつい目でみられたら怖いよ。
こちとらチキンハートなんだよ。
小さな舌打ちが聞こえた。

「あいつら何をしている」

「黒服の彼らなら、普通に通してくれましたよ。」

「おまえは何をしにきた」

「夕飯のお裾分けに」

「その鍋の中か」

「みます?大根煮つけたんです」

「・・・大根だな」

「ええ。まごうことなく。なんならひとつどうぞ」

「いや、俺は」

「遠慮なさらず」

開いた口に大根を一つ突っ込んだ。

しばしもぐもぐと動く口。
玄関先で鍋を持ちながらそれを眺める私。
なかなかシュールな光景じゃないだろうか

「・・・うまいな」

「それは何よりです」

「調味料、なにか変わったものを?」

「あ、わかります?実は___」

「・・・何をしてるんですか」


元々の目的の人物が顔を出した瞬間、私たち二人は、はっ、と顔を見合わせた。











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公安だから人の作ったもの食べない云々の設定は総無視。













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