ドリーム小説
向かいの家のおうち事情 ナイトメア
らち
本当はさんの時間を一日もらうはずだったのに___
そんな言葉を述べる彼を全力で送り出し、さあ、家へ帰ろう!意気揚々と自分の家へ戻ろうと___していたところ、道ばたでびっくりするくらい高級そうな車に拉致られた私は今日たぶん厄日なんだと思う。
「赤井さーん。私がここに乗ってる意味あります?」
「___今は一刻も早く、おまえが持っている情報収集能力が欲しい」
ぽいっと車に放り込まれて、さらにはパソコンも渡されて。
その時点で何となく想像はしていたけれど。
「えー・・・私赤井さんに、というか、誰かに話したことないですけど、仕事について。」
「FBIを舐めるな。___安室君がどこかに連れて行かれるようだが?」
こええよ、FBI。
でもまあ、人の1人や2人___どころか何十人も殺してそうなその瞳に逆らえるはずもなく。
素直にPCを開いた。
なんで私のPCなんだよ。
不法侵入は犯罪ですよー。
言えるものならそもそも今現在この状況にはなっていないな。
「んー、港近くの倉庫ですねーこれ」
PCに登録済みの監視カメラの情報をジャックして。
見たことのある高級車を見つけだし追いかける。
そうすれば向かう先は大きな倉庫が連なる、港なわけで。
私がそういった瞬間、ぎゅん、と車のスピードは信じられないくらいにあがって。
「ま、怖い怖い怖い!!ああああ赤井さんんん?!」
「舌をかむ、黙っていろ」
「んなこといっ、」
忠告を無視した私が悪いのか?
思いっきり舌をかんだ・・・。
否、突然スピードを上げた赤井さんだろ、悪いのは___言わないけど。
ぎゅいぎゅい、車の間を通り抜け、気がつけば周りに車の姿は見えず。
今までのスピードはどうした、とばかりに静かに目的地に止まった。
後部座席に手を伸ばした赤井さんはその手に黒い何かを掴み、ぼふり、私の顔に投げつけた。
赤井さんの煙草のにおいが、した。
「なんですかこれ」
顔面で受け止めたそれを手に取れば、どう見てもニット帽。
彼の頭にあるものと同じものに見える。
ちらり、視線をあげればまっすぐにその瞳とかち合って。
「少しくらい顔を隠せる、かぶっておけ」
___この人、ニット帽たくさんもってるんだろうか。
赤とか、緑とか___ピンクとか持ってたらどうしよう、おもしろい。
そんな変なことを考えているのがばれたのか、まだかぶっていなかった帽子を頭に乗せられて、無理矢理おろされる。
遮られた視界をあわてて確保しようと顔を上げれば、ぶつかる、鋭い色。
「、免許は?」
「持ってますけど___」
唐突な質問。
嫌な予感しかしないけれど、とりあえず答えて。
「運転は?」
「一緒に心中したいですか?」
来ると思ってた!!こちとら万年ペーパーだよ!!
笑顔を見せてそういえば、にやり、口角のあがる笑い方を返されて。
「ここで一緒に死ぬよりましだろう。いつでも出発できるようにしておけ」
ぐしゃり、帽子の上から一度かき回されて。
ぽん、と叩かれて。
「行ってくる」
そういいながら車を降りる姿は非常に、こう、悔しいけれども、イケメンだった・・・!
でもさ、これ左ハンドルなんだけど?
私にこれ運転させるの?大丈夫?!
言われたからにはできるように。
いそいそと運転席に移動して、あのニット帽の人を待つことになった。
かすかに響いた、音。
それが何の音なのか、わたしにはわからないけれど。
嫌な予感しか、しなくって。
エンジンをかけて、赤井さんが走っていった方向に目をやる。
と、全力でこちらに走ってくる黒くて長い陰。
うわー、全力で逃げたい・・・!
思いが形になり、アクセルを踏もうとした瞬間、バンっと、助手席のドアが開けられた。
はやくない?いまあっこにいたじゃん、はやくない?!
「だせ」
よろこんでー!!
思いっきり踏んだアクセル、だというのに、なめらかに動き出すこの車。
高級車だー!!とか叫ばなかった私を誰かほめて!!
あと誰も出てこないで!!
ハンドルにかじり付く形でアクセルを踏み続ける私を横目に、後ろを警戒していた赤井さんの顔は前に向いて。
「___」
無言で煙草を口にくわえやがった。
「ちょ、赤井さん、かわって、かわれるなら変わって!!むりこわい!!」
ふう、と息を吐かれる。
窓くらい開けやがれ!煙たい!!
「」
「なんですか、変わってくれないなら話かけんじゃないですよ!」
「今の仕事に至った経緯は?」
私の言葉はあっさり無視ですか、そうですか!
「理工系統の大学に行ってた趣味が転じただけです、よ!」
何で今の車、こっち見てねえんだよ!道にでる前は左右確認が基本だろうが!!
「ふむ、協力先の多くは警察のようだが?」
「それが何か!?」
「FBIに手を貸すつもりは?」
さらり、放たれた言葉に、一瞬、息が止まった。
ちらり、横を見れば、じい、っとこちらを見つめる二つの瞳。
だからさ、その目怖いんだって、弱いんだって・・・
「別に、拒否するつもりはありませんよ。必要だと言われれば、自分の良心と、自分のもてる正義の限りで動きますから。」
だから、
「何かあれば声くらいかけてくだされば___考えてあげますよ」
見つめ返すのは怖かったから、前を、ただ前だけを見て告げれば、くつり、笑い声。
「では、何かあったとき、声をかけさせてもらおう」
肯定も否定もせず、ただ私は一言だけ発した。
「ところで、いつになったら運転交代してもらえるんですか?私交通量多いところ本当に無理なんですけど」
※※※※※※
安室さんおっかけていったのに、安室さんの安否を一つも問わない。
信じているんだか、どうでもいいんだか。
夢主のお仕事はPC関係。
警察とかに依頼されて、監視カメラとかそういうのをさわることが多い
情報管理に長けている
まあこの長編じたいがふわっとしてるので設定もふわっとした感じでいきます
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