ドリーム小説
向かいの家のおうち事情 ナイトメア7
じゅうげきせん
ばんばんと、信じられないことに今、この観覧車は外から銃撃を受けている___らしい。
信じたくないんだけど、残念なことに先ほどから確実にこちらは狙われていて。
信じるしかない感じで、今まで安室さんが足をおいていたはずの場所がえぐられていくのはもう何回目だろうか。
「絶対にそれ落とすなよ!」
安室さんに言われて渡された鞄には何がはいっているのか。
ききたくないからきいてない。
でも結構重いんだけど?
あとなんか安室さん口調変わってない??
でも思いながらも口は開けないよ!!
舌かんじゃうからね!
あれはいたい!
もうやりたくない!!
あとおなか痛い!
私の腹に回された安室さんの腕が、ひっじょうに、いたい!
なんなのこのひともう人間じゃない動きしてるよ!!
飛んではねて、駆けて止まって、しゃがんで、あ、いたい!頭なんかぶつかった!!
と、
「どうにかならない?!赤井さん!」
「こうも暗くちゃ、闇夜の烏はおとせんよ」
聞こえてきたのは赤井さんと、何処か幼さの残る声。
「照らせればいいんだな?!___うけとれ、赤井秀一!!」
応えたのは安室さん。
その言葉と一緒に、放り出されたその先。
手に持っていたかばんは取り上げられて、安室さんはそれを開けてごそごそしている。
今放り投げた私のことなんてもう蚊帳の外だ。
ちなみに突如放り出された私をニット帽子はなんなく掴んで。
「___何故ここにいる」
めちゃくちゃ怖い顔で見おろしてきた。
こわいんだけど!
でもごめん!確かにここにいるのは場違いで、足手まといでしかないって知ってる!
「赤井さん追っかけて、観覧車の裏側にはいってたんです!ごめんなさい!!」
隠し立てする必要もないでしょう!
素直大事、我が身大事!!
嘘偽りなく証言しますー!!
「でも返事くれない赤井さんが悪かったと思います!!」
先生に意見する小学生のようにぴん、と腕を上に伸ばして主張。
責任転化万歳!私悪くない!
そうすれば深い深い溜息が返された。
あ、やめて!痛い子に向ける視線やめて!!
だって本当のことじゃんかー!
「、さん・・・?!」
この場に似合わない幼い声。
ぐるん、回した視界の先
ちっちゃな体、大きな瞳はめがねによって彩られて。
ぱっくん、大きなお饅頭がまるまる入りそうなくらい大きく開かれた口。
あらかわいい。
でも
「何でこんなとこに小学生が居るのー?!」
大変、赤井さん大変!
あわあわと指さして訴えれば、人を指ささない、と安室さんから注意された。
おかんか!
「わかった!あれですね、私が逃げるのに当たって一緒につれてかえってってことですね!私一人でも危険なのに?!」
「安心しろ、おまえにそんな期待はしていない。」
「ありがとう赤井さん!ちょっと胸がえぐられたけど、安心した!」
淡々と返される言葉だけれど、呆れが前面に押し出されているのはどうかと思うよ!
隠すのも大事。
「僕は大丈夫だから、お姉さん早くこっから逃げなきゃ!」
どことなくじとん、とした目を向けられた気がするけれど、気のせい。
小学生からのしっかりとした言葉に、弱っていた心臓がちょっと元気になった。
何この子、優しい!
「だめだよ、私役に立たないけど、一緒に逃げよう?」
私の言葉に小学生はにっこりと笑って同じ言葉を発した。
「僕は大丈夫だから!」
いやいや、そういうわけにもいかないじゃん!
「コナン君はかまわない」
「坊やだからな」
突然の援護射撃。
それはここにいる私以外の大人二人からもたらされたもので。
「何なの?!その以心伝心感!!」
思わず叫ぶ。
なんなの?!赤井さんと安室さんが子供に向ける信頼感!
小学生だよ!?
ねえどういうこと?!
小学生を指さし続けていたらぎゅう、とその指を掴まれた。
掴んだのは暖かな、ふくふくとした温もり。
おっきなめがねの奥、何処か既視感を覚えるその瞳にのまれそうになって。
「さん、お願い。ここからはやく逃げて」
どうして名前を知ってるの、とか。
頭にちらちらよぎるよく似た姿の青年とか。
どうやって逃げろと?とか
聞きたいことも言いたいこともたくさんあったけれど。
それでもその瞳に見つめられたらうなずくことしかできなくて。
「___じゃあさんは俺が引き受けよう」
突如、響いた、声。
どこにいたのか、いつから居たのか。
それすらわからない。
声が聞こえたと同時に、赤井さんが私を思い切り自分の後ろに引きやって腰を落とした。
小学生も声の方向に顔を向けて。
安室さんは抱えていたかばんを後ろに隠すようにして体勢を整えた。
「げ、榊さん」
暗がりから現れたのは、見たことのある人。
否、数時間前まで行動を共にしていた男性なわけで。
「知り合いか?」
「知ってる人?」
赤井さんと小学生の矢付き早な質問に食われ気味になりながらうなづいた。
「ええと、この人は___」
「どうも、さんの婚約者___「それ違いますよね?!」正確には候補、だな」
私の質問を遮ってもたらされた言葉、を慌てて遮ればようやっとただし・・・くはないけれど近い答えを返してくれて。
じとりとした視線を感じるのは、うん、気のせいだよ!
「なんでここにいるんですか?」
私の質問はもっともだろうに、榊さんはにっこりと笑うだけ。
代わりに口を開いたのは、安室さんだった。
「___さん。行ってください」
先ほどまでの警戒はどこにいったのか。
「大丈夫でしょう。その男は。何より、これ以上あなたを危険なこの場所に置くわけには行かない。」
いつの間にかあっさりと警戒を解いていた安室さんがそう言った。
すぐに人を信じるように見せかけてびっくりするくらい警戒心の強い彼がそう言ったならば、信じればいいか。
確かにこれ以上ここにいても足手まとい以外の何者でもないし。
ちらり、赤井さんや小学生を見れば、安室さんが言ったならば、とうなずいていて。
榊さんの方に目をやれば、いつの間にか至近距離で見おろされていて。
「言っただろ?君の一日をもらうって。ちゃんと最後までエスコートさせてくれ」
拒否権は、ない。
さらにはさっさと脱出したいのは山々だったので、あっさりとうなずいて___
また米俵のように担がれて、右へ左へ飛んではねて落ちて頭をぶつけて___とかしながらも何とか地上に、安全なところに連れて行ってもらうことができた。
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