ドリーム小説







向かいの家のおうち事情 もしものお話
もしも緋色シリーズに関わっていたら。











窓の中に、焦がれてやまない人を見た。






意気揚々と得意料理の肉じゃがを作り、目の前の家のピンポンをならす。
わくわくしながらその人物が出てくるのを待てば___

「どうかしましたか?」

出てきたのはメガネがまぶしい穏和なイケメン沖矢さん。
いや、好きだけどさ、今会いたいのはあなたじゃないんですごめんなさい。

「優作さん!いますよね!」

ときめきがとまらない、大好きなあの人の名前を呼ぶ。
制止しようとする沖矢さんをそのままに、期待を込めて中をのぞき込めば___

「沖矢さんが、二人、だと・・・・・・?」

玄関の沖矢さんを沖矢さん1と仮定しよう。
その向こう、リビングの扉をあけてでてきたのは、マスクをつけたもう1人の沖矢さん。
この人を沖矢さん2としよう。

「これは・・・・・・天国か?」

思わずつぶやけば、沖矢さん1のため息。
私に微かなダメージ
でも気にしない!

「わー、いいですね!両手に沖矢さん!!」

沖矢さん1を眺めて、沖矢さん2も見つめる。
穏和なメガネイケメン男子が二人
まさに眼福といえよう。

なぜ同じ人物が二人いるのか、とか別に構わない。
この世に起こる現象全てを私が知っているわけがないのだから。
まあそんなこともあるだろう。

とりあえず私が今言えることは___

「赤井さんが二人じゃなくてよかったー!」

イケメンでも目つきの悪いニット帽が二人より、沖矢さん二人の方がどんなに幸せだろうか。
両手に抱える鍋がなければバンザイしていたくらいの気持ちだ


途端あふれたブリザード


「ほう、ではご所望の赤井さんをつれてきましょうか」


沖矢さん1の雰囲気が一気によろしくないもの変化した。
ちょっと待ってどういうこと?

「沖矢さん、彼女を居間に」

沖矢さん1は2に指示を出して、そのまま屋敷の奥へと足を進めていく。
沖矢さんが沖矢さんを呼ぶのはなんというか非常におもしろい

「あ、いえ、優作さんがいないなら私は___」

おいとまします。

その言葉は沖矢さん1にの視線によって遮られた。
微かに開いた瞳が超怖い!!
ながいものにはまかれろ精神、衰えてはいません!
もちろん従います!!


沖矢さん2によってつれてこられたリビング。
いままでこんなに緊張感にあふれたリビングがあっただろうか。

否、ない。
沖矢さん2がかいがいしく世話をしてくれたため目の前には温かなコーヒー。
けれど手をつけられずにいる。

原因は言わずもがな___

「さて、君ご所望の赤井だが?」

目の前で恐ろしいほどの存在感を醸し出す赤井秀一だ。
トレードマークのニット帽。
人を何人か確実にヤっている人相。
おまえ何日寝てないんだと聞きたくなるほどの隈。

微かに口角をあげているその表情は非常に恐ろしい。
だが、イケメン。

どうしよう、優作さん
かっこいい、しかし怖い
怖い、しかしイケメン

この感情は両立するもんなんですね___

「では、僕は少し用事がありますので___」

「まってぇええ!!行かないで、沖矢さん!私の癒しぃぃ!!」

にこやかな表情で退場しようとする沖矢さん2をあわてて引き留める。

「お願い、なんか機嫌あんまりよくないこの人と二人きりにしないでぇえ!!」



「ほぉ、俺と二人は不満か?」

「滅相もありません!」

無理ですー
従う以外の方法がわかりませんー

「なら、俺と共にドライブと洒落込もうじゃないか」

イエス以外の返事が返せただろうか?
否、無理に決まってるよこれ。













狭い暗い暑苦しい

今現在三重苦に巻き込まれております
リアルにいいたいどうしてこうなった

あの後赤井さんによって大事な商売道具と共に車に放り込まれて。
そのまま揺られて数十分。

おろされたと思えば、突然黒い車に近づき、なんかよくわからないけれど、鍵、あけやがった・・・・・・
___さらにはまさかの後部座席のイスの下に放り込まれた。
馬鹿なの?
ここって人が乗るようには設計されてないんだよ?!
やんややんや言う私に対して彼は人差し指を口元に持って行きニヒルに笑った。

「いい子にしてたらご褒美をやろう」

ご褒美、そ、そんな単語なんかに、つられたりなんか、しない、からね!
顔をぷいと逸らして、ちらりと彼をみる

「___例えば?」

でもその詳細くらいきいてあげようじゃないか。

「そうだな___とっておきのディナーと酒をおごってやろう___沖矢昴が」

「赤井さん!私今から物言わぬ貝になります故!お静かにお願いいたします」

さらにぎゅう、と奥に詰め込まれたと思えば、横に赤井さんまで潜り込んできた。
暑苦しい!

「ちょ、赤井さ、あつ」

「沖矢とのご飯」

「はい!黙ります!」

「Good Boy」

やめてー!!耳元でいい声でしゃべらないでー!!



そうして今に至る。

運転席と助手席に乗り込んだ誰か。
後部座席の下に潜り込んだままの私たちに気がつかず、ただ何事かを話している。
車の振動でびっくりするくらいなにも聞こえないけどね!

と、突如あわただしくなる車内。
同時に突き上げるような衝撃。

舌をかみそうになる体は横からの手で押さえられて。

「shit」

小さく漏らされた言葉。
焦りはなさそうだが、どことなく不服そうな声色。

するり髪を撫でられた感覚。
そして、開放感。

「天井をあけろ、キャメル」

気がつけば座席に座らされて、天井があいた車内で、ぽかんと星空を見上げていた。

「シュウ!?」

「赤井さん!!」

「車を5秒間固定させろ」

そういうと赤井さんは私をぐいと引き寄せて、

「まって、赤井さん、これ私を台にしてません?」

前には赤井さんの胸元。
ぐるりと回された腕は私を支えると言うよりも、その腕にもつ何かを安定させるため。

「沖矢との時間」

「はい、だまります!」

ご褒美のためならいくらでも口にチャックしますよ!わんわん!

赤井に抱き込まれたまま、発射された何か。
なにか、ったらなにか。
私はその存在を認識していませんから!

ぐるんぐるんまわる視界と世界に体感機能はへろへろだ。
いつの間にか止まって、スーツ姿の男達に向けて何かしゃべってたのは聞こえたけれど、内容までは理解できなかった


ぐろっきー・・・・・・

















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