ドリーム小説
記憶を辿って番外編 ずっとずっと会いたかった
「ほら、兵助。今日からあなたのお友達よ。」
小さなころ、小さな出会い。
「だあ、れ・・・」
でも、それは俺にとって、とても大きな出会いで。
引っ越してきてすぐ、隣のおうちに同じ年の子がいると聞いて。
その子を連れて来てくれた隣のお母さん。
すやすやとその腕の中で眠る男の子。
黒い髪はちょっとだけ先っぽがくるくるしていて。
とくん、小さく胸が期待の音を立てた。
「尾浜勘右衛門君よ。」
その名前を聞いた瞬間、
嬉しくて、
悲しくて、
苦しくて、
どうしようもなくなって
ぼろぼろぼろぼろ
涙が溢れて、しかたなくなった。
「兵助?どうしたの?」
お母さんの心配そうな声。
でも、それすら気にならなくて。
「かんちゃん、かんちゃん、」
「かんちゃんっ」
名前を呼んで、泣いて、
そっとその手に触って。
あったかいそれが、嬉しくて
「かんちゃんっ」
また、会えた。
嬉しくて、嬉しくて、
泣きすぎて、疲れ果てた時、その記憶はどこにもなかったのだけれども。
※※※
兵助と勘右衛門の出会い。
というか、兵助が始めて勘右衛門に会った時。
でも記憶にはないよっていう。
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