ドリーム小説
記憶を辿って番外 共に生きることは叶わぬと
それは、まだ共に生きることを許されなかった。
そんな過去のこと___
「ちゃん、どないしはったん?」
穏やかな声が耳に入る。
ゆるり、そちらに目をやればおっとりと笑む一人の先輩。
数少ないくのたまの上級生のなか一番穏やかで優しいと評判の先輩だ。
ふわりふわり、柔らかな髪が風に揺れる。
元は高貴な身分のお方だったとか、そんなことを風の噂で聞いたことがある。
それでも、まだこの学園に入学したばかりのにとっては優しい頼れる先輩で。
「先輩、向こうに、水色の男の子たちがいたのです。」
自分と同じか、自分よりも小さいのか。
遠くて分からなかったけれど、ころころ、楽しそうに駆け回っていて。
「私も一緒に遊びたいなあ・・・」
私たちくのたまは残念ながら人数が少ないからあんな風にたくさんで遊ぶことなんかできなくて。
体に傷を作ってはいけない子達も多くて。
だから、その光景はとてもとてもうらやましかったの。
でも、先輩にそんな顔をしてほしかった訳じゃない。
困ったように、泣きそうに、笑ってほしかったんじゃないの。
「先輩先輩、どこかおいたいのですか?」
どうすればいいのか困ってしまって問いかけるけれども、ふわり、また笑うだけ。
「あのね、ちゃん。近づいてはだめよ。あの子達に。」
どうして?
一緒に遊んじゃいけないの?
聞きたいことはたくさんあったのに、先輩のその笑顔をみたら声を出すことなどできなかったの。
そうして、そのくのたまの先輩がひどくにんたまの子達におそれられているのを知るのはもう少し後。
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