ドリーム小説
魔法1
暗い闇。真っ暗な世界。何も見えないそこに、私はいた。
(・・・夢?・・・)
それは夢だと感じるけれど、夢ではない感覚で。
上も下もないただそこにいる。それだけの感覚で
手を伸ばしても真っ暗だから、自分が見えなくて。
本当にここにいるのは私なのかと、自分を疑って。
でも、やっぱり見えないから、結局答えはわからなくて。
これが夢だとわかるのは、ただ何日も同じものを見ているからに過ぎなくて。
でも・・・
(・・・今日はなんだか違う・・・)
いつもと同じはずなのに、いつもと違う違和感。
何か逃げていたものに、ついに捕らわれてしまうかのような。
隠れていたのに、見つかってしまうかのような。
『み・・た!いせ・・のこ・・を。とら・・!われ・・は・えい・・め。・・いを・・いれ・・・に。と・・よ!』
声が聞こえた。聞いたことのない。けれどもとても恐ろしい。
ゆっくりとけれども確実に私を蝕む。
それはまるで、私が黒く塗りつぶされるかのような。
と、突然身体が引っ張られる感覚に襲われる。
感じるのは漠然とした恐怖。
怖い。
・・なにが?
怖い。怖い。
・・どうして?
怖い。怖い。怖い。
・・いったいだれが
怖い。怖い。怖い。怖い。
・ ・・私をしんしょくしているの?
・ ・・コワイ・・・
「・・っうわあああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
喉からほとばしるは、絶叫。感じる恐怖はより明確になり、私を取り囲む。
同時に感じるは、激痛。たとえるなら、自分が作り変えられるかのように。
恐怖に、痛みに、涙が溢れる。必死にもがく。連れて行かれる感覚に。
必死に抗う。その恐怖に、痛みに。
意識を失う最後の瞬間に何かを掴んだ気がする。
『みつけた!いせかいのこどもを。とらえよ!われらのはんえいのため。せかいをてにいれるために。とらえよ!』
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