ドリーム小説










魔法120

















くるくると変わる表情。

私を見て、幸せそうに笑う顔。

まだつたない言葉は、私の耳をふるわせて。

穏やかな声に名を呼ばれるたびに、胸の奥温もりが広がる。

そっと、すがるように触れてくる手をはずすことはできないまま、今にいたって。




そして今。

真っ黒な、感情豊かに私を写すその瞳は、




閉じられたまま、開くことはない。





ディゴリーが、彼女を連れて競技場に現れて。

そして彼は、彼女にすがって泣き叫んだ。


何事かと集まる視線などものともせず、ディゴリーは彼女の、の名前を呼び続けて。


呼ばれればいつもふわり、笑って返事をするはずの彼女は、ぴくりとも動かず。


動きにあわせて揺れる黒髪は、土にまみれ。


無意識に近づいて触れた体には熱がなく。





何があった、と問いつめることも

すぐに部屋に運んで何らかの措置をとることも


何一つ考えつかず。



「・・・?」



ただ、静かに彼女の名前を呼ぶことしかできなかった。



腕の、罪の証が痛むことで自分のなすことを思い出して。



ああ、いかねば、と思った。

私が優先するのは、この子のことではないから。




私が守るべきなのは___




ポッターが、そして睦月が戻ってきて。

状況を把握して。

こちらを優先するふりをして、向こうに戻って見せて。


そうやって、彼女を置きざりにして事態は進む。


まるで自分ではない存在が、自分を操るかのように、私は動く。



死の呪文を受けた彼女は、その体質が原因だろう。

息絶えることはなく、ただ、眠っている。



ただ、半年たった今でも、彼女は瞳を開くことはない。




眠り続ける





ひとりの少女

























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