ドリーム小説










魔法119


























つながった杖の先からははでてこない。

管理人、それからポッターの両親。

少し危惧していたことも、大丈夫だった。

はちゃんと生きている。

焦りを示していた心臓は平常に戻り、一つ、息を吐く。

目の前ではポッターが、愉しそうなヴォルと裏腹に苦痛の表情を浮かべていて。



さて、では、動こうか。

彼女の元に戻るために。




「ポッター」


両親に目を向けていたポッターの後ろで名前を呼ぶ。

びくりと体をふるわせた彼に前を向いたままでいるように指示をして。

「大丈夫だ。は生きてるしディゴリーも無事だ。」

俺の声に彼は一つ息をのんで。

「よ、かった・・・」

小さな声でつぶやいた。

今の自分の状況でそれをいうか。

思わず笑みが漏れる。

「後はお前が帰るだけだから。」

そう言えば、彼は違う、とばかりに首を振る。

「帰るのは君も一緒だよ。」

その言葉に、今度は俺が息をのむ番だった。


ああ、この世界で大事なものを作るつもりはなかったのに。

どうして心に響く言葉を紡ぐ奴がこんなに多いのか。

「・・・俺が帰ったところで居場所はあるのか?」

小さく問いかければ、今度はくるり、首ごとこちらを向いて。

「僕らのそばじゃ、不満?」

そんな言葉を放つものだから。



今度こそ、笑いが止まらなくなった。



ほんの少しだけ残っていたヴォルへの思いは一瞬で消え失せて。

あいつのために、こいつらのために、生きてもいいと思えたんだ。


「ごめんな、ヴォル!」


無理矢理つながりを切らせて、ポッターの体に触れる。

驚いた表情のポッターを無視して、ヴォルに笑う。


「裏切るのか、昴!!」

その言葉にさえ笑いが止まらない。

はじめから信じあってなどいないくせに。

利害の一致だけでそこにいたというのに。


「笑わせるな、ヴォル!」

俺に向かってくる呪文すべてを相殺して。

「俺たちは、一度たりとも裏切りあえるような、そんな関係じゃなかっただろう?」

ポッターをぐ、っと腕の中に閉じこめて。



「じゃあな、ヴォル。」



そして俺らは姿くらましをした






築いた絆など、欠片たりとも存在しない。














ぶわり、一瞬の浮遊間の後、音を立てて着地をする。

腕の中に抱えたポッターが気分の悪さでうごめくのを感じながらあたりを見渡す。


「ハリー!!」

叫び声。

同時に近寄ってくるのは教員と彼の友人たち。

それらを無視しながら再度目的の人物を捜す。

腕の中からポッターが連れ出されマッドアイに連れて行かれたが今はどうでもいい。


ちゃん、」

見つけた、目的の人物。

彼女は未だディゴリーと共にあって。

足を進めて彼女の元に。

「睦月」

ディゴリーの震える声。





そして、その意味を、知る。





そこにいた彼女は瞳を閉じたまま、ぴくりとも動かなかった。



















※※※
次は不死鳥





















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