ドリーム小説


























「 この、 穢れた 血め!! 」


響く、罵倒の言葉。

プラチナブロンドの少年が放った言葉は、少女ではなく、その側にいた赤髪の少年へと突き刺さる。

かっとなったその少年が杖を降りあげたその瞬間、柔らかな声がその場所を支配した。

「 あらあら、ドラコ。」

緩やかな、穏やかな声。

急激にあがっていた熱を下げるような柔らかな色。

ゆるり、プラチナブロンドと赤髪を遮るようにたったのは、プラチナブロンドの腰にまでのびた髪を持つ一人の少女。

柔らかな目元に微かに弧をかく口元

身にまとうのは緑色。

少年と同じ制服。



「大事なお友達にそんな言葉使っちゃいけません。」

赤髪たちに背を向けたその少女は少しだけ語尾を強めてプラチナブロンドに告げる。

しょんぼりと少女に向き直る少年

「・・・すみません。」

あっさりと彼の口から発せられた謝罪の言葉。

その言葉に唖然とする赤髪に少女に黒髪の少年。

「さ、ちゃあんと謝りなさい。」

プラチナブロンドの少女は少年の後ろに回りそっとその背中を押す。

促されるように一歩前にでたプラチナブロンドの少年は罰がわるそうに、一つため息。


「・・・すまなかった。グレンジャー。」


今度こそ、三人組はぽかん、と口を開けた。

いったい、目の前のこいつは、だれだ。

そう言いたげな瞳を一身に受けながらも、プラチナブロンドの少年、ドラコ・マルフォイは言葉を続ける。

「ウィーズリー、ポッターも。マグルならば意味が分からないだろうと、つい心にもないことを言ってしまった。」

かすかに、本当に微かにではあれど、ドラコは頭を下げて。

そして帰ってこない返事に不安そうに視線をこちらに向ける。

「ふふ、よくできました、ドラコ。」

三人の拘束をといたのはプラチナブロンドの少女のうれしそうなほほえみ。

「大丈夫よ、私はなにも気にしてないから。」

あわてて声を発したのはグレンジャーと呼ばれた少女。

自分に向けられたはずの中傷は、しかし元来魔法一族ではない彼女からすると、痛くもかゆくもなく。

その言葉にドラコがそっと頬をゆるめた。

「ふふ、じゃあ、これで仲直り、ね。」

柔らかな笑み。

プラチナブロンドの少女は一度、二度、ドラコの頭をなでて。

そして三人にとてもきれいにほほえんで、姿を消した。

後に残されたのは微かにほほえむドラコ。

そして彼女の後ろ姿を目線で追いかける三人。

ポッターとウィーズリーに至っては未だに信じられない、というようにぽかん、としている。


「・・・きれいな人、ね」

「そうだろう?」

グレンジャーの言葉にドラコが誇らしげに答える。

「マルフォイとどういう関係なのか聞いても?」

「姉上だ。」

淡々と続けられるグレンジャーとドラコの会話。

視線は彼女が去っていった先に向いていて。

「さすがのマルフォイも姉には勝てないのか」

ようやっとこちらに意識を戻したウィーズリーがけなすように言葉を発する。

「ちょっと、ロン!」

グレンジャーが声を荒らげるが、それはドラコのため息によって消されて。

「グレンジャー、かまわない。」

本当に、これはだれだ?そういいたくなるほど、いつもとは違うドラコ。

「ウィーズリー。どうとでも言ってくれ。僕は、なにがあろうとあの人には、姉上には逆らえない。」

困ったように、でもそれはいやそうなわけではなく。

仕方がない、そんな表情で彼は言葉を綴る。

「でも、それがいやな訳じゃないんだ。僕の今までも、僕が持つ思考も、感情も、あの人なしにはもち得なかったものだから。」

「それって、つまり・・・?」

ずっと黙っていた黒髪の少年が続きを促す。

「まあ、僕は別にグリフィンドールのこと嫌いじゃない。」

あっさり、発せられた言葉。

それは今までの彼らの関係を覆すがごとく。

「マルフォイ家は代々純血で、それ以外を認めない。その思考が存在することは確かだ。でもそうじゃない人だっているわけでな。姉上がその筆頭だ。」

三人の脳裏に先ほどの少女が浮かぶ。

ふわふわと、とてもきれいに笑う少女。

緑色のネクタイがここまで似合わない人も滅多にいないんじゃないだろうか、というほど似合っていない。

「・・・姉上は、まあ、見た目てきにはまったくもって、スリザリンじゃないが・・・」

三人の思考を読んだようなタイミングでドラコはそう言った。

「反純血主義の思考をまったくもって両親に悟らせないくらいには、狡猾だ。」

ふわふわした笑みが、一瞬で黒いものに変わった気がした。

「つまり、そのお姉さんに育てられたマルフォイ、あなたも・・・?」

グレンジャーの言葉にドラコがにい、っと笑った。

「別に純血がすべてだと思ってないよ。」

今までの二年間はいったいなんだったのか。

そんな思考にとらわれる三人。

姉上が行動を起こすまでは、適当にスリザリンらしくしていればいいか。

そう思ったドラコのことを、三人はまだ知らない。


「姉上に言われてしまったからな。適度に仲良くしてくれると、うれしい。ただし、スリザリンのみんなにはばれない範囲で。これからもよろしく頼むよ、ハリー、ロン、ハーマイオニー。」

はにかむように告げるドラコは文句なしにかっこよかった。


















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