ドリーム小説
14
「この馬鹿、なんでっ、ここに来たっ」
誰よりも、なによりも、苦しそうに、ドラコは唇をかみしめた。
とある屋敷。
集う闇の魔法使いたち。
その一員として存在しているこの場所に。
地下牢に、閉じこめたかけがえのない友人たち。
守るために、こちらにきたのに。
守るための相手を、虐げなければならない現実に。
杖を持つ手がふるえる。
けれどもここでばれれば、きっと一番大事なときに共を守ることはできない。
ドラコの瞳が泣きそうに揺れる。
「ドラコを、信じてるから。」
ハリーが、そういって困ったように笑うから、よけいにドラコの瞳は揺れて。
「この、ばか・・・」
小さく、先ほどとは違い、力が抜けたようにうなだれてドラコは繰り返す。
次に持ち上がった顔には迷いの色などなく、ただ強い瞳がそこにあった。
「今からおまえに、ひどいことをする。それでも、信じていろ」
告げられた言葉に、ハリーは思わず笑う。
怖くなど、ない。
信じているから
寮を越えた友人を
親友ともいえるようになったその相手を
「クルーシオ、苦しめ」
苦しそうな表情で、磔の呪いをかけるドラコを。
体に走る痛みは、けれども、知っている痛みに比べてずいぶん優しかったように、思う。
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