ドリーム小説








8

















よみがえったのだと、知った。


あの闇の帝王が

父が従属をせざるを得なかった相手が



死んでしまったのだと、聞いた。

あの少年が

強く、優しかったあの彼が

一度だけ、会話したことのある存在は、もういないのだと。




セブルスの顔色がひどくわるい。

原因が分からないほどは子供ではなくて。


セブルスの部屋。

定位置となったソファから立ち上がって、薬学教授の前へたつ。

そっとその頭に手を回して、いろんなものから守るように、抱きしめる。

そうすれば、セブルスは拒否を示すことなく身をゆだねて。

掻き抱くように、の腰に手を回す。


「セブルス」

呼べど、返事はない。

それでもかまわない。

腰に回った手が、少しだけ強さを増したから。


「私は、セブルスの過去には特に興味ない」

たとえあなたの闇の陣営に身をおくものであろうと。

その手が、いろんなものを殺めてきたのであろうと。


今のセブルスになるのに、それは必要だったのだろうから。


「ただ、セブルスがここにいる。それだけでいい。」


セブルスが、この場所に今、いること。

それだけで、いいのだ。


手を、引かれて。

包み込んでいたはずが、包み込まれる形になって。

その胸に、耳を押し当てる。


確かな鼓動。

存在のあかし。





それだけで、かまわない。




















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