ドリーム小説
BASARA60
「。」
佐助と話していると部屋から政宗が出てきて名前を呼んだ。
「政宗様。」
その姿にふわり微笑めば同じように返ってくる笑み。
その普通のやり取りは優しくの心に染み込んで。
「んじゃま、俺様は退散しますかねぇ〜。」
そう言って佐助はその場から消えた。
「。」
その佐助を見ていれば再び名を呼ばれる。
「ぇ、わっ!」
振り向けばいつの間にやら目の前に政宗はいた。
驚いて後退れば笑われて。
話を聞いて欲しい。
そう言われて二人して縁側に座った。
ぽつりぽつり話し出した政宗に耳を傾ける。
「。俺は天下を取る。」
「はい。」
政宗の目は庭を見ていた。
「弱きものが虐げられる事の無い世界を作るために。」
「はい。」
淡々と浪々とその声は耳に馴染む。
「そのためには多くの犠牲がでるだろう。」
「はい。」
微かな瞬時。
「未来の大多数のために、今の少数を切り捨てることも厭わなくなるかもしれない。」
そこまで言うと政宗は立ち上がりに背を向けた。
「そのときは、。」
一歩一歩足を進めて。
「お前が止めてくれ。」
優しくも強い。
「俺が戦に身を置くことで俺は一歩ずつ獣に近づく気がするんだ。」
その背中は大きく。
「殺すことに何も思わなくなるかもしれない。」
その意志は固く。
「それでは俺が望む世界は作れない。」
言葉は迷わない。
「だから、。
お前はここに、俺のすぐ傍にいて俺を見ていてくれ。 」
ゆっくりと振り向いてを見つめて言うその人は太陽に照らされ明るく気高く、そして何よりも美しい。
頷こうとしたの脳裏に1人の人物が浮かぶ。
「っ、でも、政宗様の傍に、はあの人が、あの女の人が・・・。」
それにきょとんと、政宗にしては間抜けな顔で返されて、次いで彼は笑った。
「あいつは、俺専用の諜報員の梅だ。そんな関係じゃねえよ。・・・もしかしてお前そんなことを気にしていたのか?」
頭の中で梅とあの女性がイコールで繋がって
へにゃりとそれに安心したせいで体は項垂れた。
そうしてゆっくりと政宗を見つめて。
「・・・傍にいても、いいのですか?」
掠れた声で呟けば心地よい彼の声が返ってきて。
「傍にいて欲しいんだ、お前に。」
ぽろり
予期せぬ言葉に、思わず涙が零れて。
彼は苦笑を浮かべての元へと近づいて。
優しくその腕に閉じ込めた。
「I need you・・・」
その言葉はを求めるもの。
その言葉はが求めたもの。
その温もりでを包み込む。
その温もりには包まれる。
零れ落ちる思いは気持ちは止まる事など知らずに
ただ、そこにあった。
愛しく思うこの気持ちは決してうそなんかじゃなくて。
傍にいたいと思うその思いは真実で
「政宗様、私がいなくなるその時までは、ずっと傍にいさせてください。」
優しい日差しは二人を照らしていた。
出会うはずの無かった世界で出会うことのできた奇跡
交わるはずの無かった道が交わったことは運命
決して不変ではないこの世界で目指すのは変わっても変わらぬもの。
共に生き 共に笑い 共に泣き 共に悩み
そうして見つけるは 変わらぬ思い
手に入れるは難しくも容易く
手放すは惜しくも容易し
それ故に儚きものは
互いに惹かれあい 互いに求め合い 互いに呼び合う
それは何よりも尊いもの
共にいてもいいと
共にいろと
願われて
願って
共に生きたいと
共に生きようと
思って
思った
私にとって
俺にとって
ともにいるそのことが何よりの喜び。
だからどうか
この身尽きるそのときまで
この命燃え尽きるその最後まで
願わくば あなたの傍に
※※※※
「願わくばあなたの傍に」を読んでくださってありがとうございました。
勢いで始めたこの連載ですが終わらせることができたのは皆様の応援あってこそでした。
初めて書き上げた連載故、可笑しな点なども多々あると思われます。(というよりもあります・・・。)
ですが私自身も大変楽しんで書くことが来ました。
私の中ではこのお話はここで終わりです。
ちょびっとだけ登場した松永様へと続くお話を書いてもよかったのですがあえてここで。
政宗様お相手だと言うのになかなか出てこなかったり、長い間お眠りになられたり、佐助が出張ってたり・・・。
しかもまったく甘くないという・・・。
できましたら番外編と称しました短編などでその後の二人などを書けたら、と思っています。
最後に、そんな連載でしたがここまでお付き合いくださった皆様に心の底から感謝申し上げたいと思います。
本当にありがとうございました。
H,21,4/1 煌那蔵
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