ドリーム小説
無色透明 1
___元の世界に帰りたい。
私がうまれたあの暖かい場所へ。
願いは、ただそれだけだった。
その願いを叶えるためだけに、私は動いていて。
緋色の彼に拾われたときも。
自転車を操る彼に助けられたときも。
いつだって、願いはぶれることはなく。
___ぶれることなんて、なかったはずなのに。
麦わら帽子が、笑う。
私が望むたった一つ。
元の世界に帰りたい。
私の願いを、その麦わら帽子は至極簡単に受け止めた。
無理だとも、不可能だとも、いうことはなく。
彼において行かれた私を、あっさりと引き入れて。
一人で途方にくれる私を、まぶしい笑顔で導いた。
優しい人も、暖かい言葉も、柔らかな笑顔も、何もいらなかったのに。
この世界に、見知らぬ世界を、見知らぬ世界のまま、しておきたかったのに。
大切なものなんて、いらなかった、のに。
「、俺がおまえのそばにいれなくなったら、俺の弟を、ルフィを頼れ。」
緋色の、太陽の光を纏った人は、私に告げた。
それに導かれるように、私は麦わら帽子に出会って。
「!島が見えたぞ!!」
全身で、私を信じていると叫ぶ船長が
「お味はどうだい?ちゃん。」
優しい笑顔で私を見つめるコックさんが
「!これは貸しだからね!」
明るい声で私を呼ぶ航海士が
「ふふ、は物覚えが早いのね。」
きれいな表情でで私をほめる考古学者が
「、!!これみてくれ!!」
きらきらとした瞳で私に手を伸ばす医者が
「ほーら!!これならおまえも戦えるだろう??」
私に生きるすべをくれた打撃手が
「。おまえは弱いと自覚してるから、大丈夫だ。」
静かに頭をなでてくれた剣士が
彼らが、私の名前を簡単に呼んだりするもんだから。
彼らが、堅く閉じた心を簡単にこじ開けていくものだから。
彼らが、あっさりと私を受け入れてしまうから。
この世界に居場所をくれてしまったから。
離れられなく、なっちゃうじゃないか。
居心地がいいと、思ってしまったじゃないか___
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