ドリーム小説
始めの出会いはなんというか、こう、不思議なものだったように思う。
始業式。
眠い、そう思った本能に忠実に従って、寝心地の良さそうな場所を探して入り込んだ裏山。
ぽかぽかと日が当たる柔らかな場所を見つけてなんの戸惑いもなしにその場所で眠った。
それが事の始まり。
日が陰ればおそらく寒くなってくるはずだからそれまでには起きれるはずだと思って。
ゆるり、襲い来る眠気に身を預けた。
あったかい
それが始めの感想。
温もりに包まれたそれは、太陽のせいだと。
無意識のうちにそう思い、それに擦り寄って。
まだまだどこかへ行く様子を見せない眠気に従う。
と、
その温もりが、突然、私の体をぐいと引き寄せた。
瞬間まどろみが一気に覚醒。
突然の衝撃に慌てて体を起して、その正体を見極めようと、・・・したのだが
「う、動けぬ・・・?」
起こしたはずの体は、残念ながら横たわったまま。
ついでに言えば目の前は黄色と黄緑。
それが何か判断できるほど、頭は冷めていない。
困った、非常に困った状態だというのに。
なぜだろうか、この温もりはあまりにも心地がよくて、再び眠気に襲われる。
危機感というのを持つべきだと訴える自分はいるが、残念ながら本日の私の中にいる私は眠気優先札をあげていて。
「・・・も、いいか。」
動けぬ、どうしよう。結果、あきらめる。
そこに至る順路はひどく早かった。
包まれたままのぬくもりに再び擦り寄って、その温もりをむさぼる。
見知らぬ人(物?)よ、もうしばらくこのままでよろしくお願いします。
「・・・だぎゃん無防備ばい」
いつもの昼寝場所に向かえば、なぜかそこには先約。
スカートの下にジャージをはいて、眠るその姿。
おそらくはじめは全体が日向だったのだろう。
今は半分くらい体が陰に隠れていて、その残った日向を追いかけるように体を小さく小さく縮めて。
「むぞらしかぁ・・・」
可愛い。
そう思ったのは本当で。
面白そう。
そう思ったのも事実で。
微かに寒いのか体を腕でさする様子に誘われて、その横に寝転がる。
なんというか、本当に無防備。
ゆっくりと、伸ばした手でその体を包み込む。
ぎゅう、と引き寄せれば甘い甘い、お日様の匂い。
小さなその体は平均よりも大分大きい自分の中にすっぽり収まって。
「むぞらしか」
再びそう呟いて、ゆっくりとまぶたを閉じた。
「う、動けぬ・・・?」
小さく小さく呟かれたそれ。
あまり深く寝入っていなかった耳にとって、目ざましに十分。
言葉が何と言うか、面白いと感じた。
そのままどうするかと思って観察していれば、もぞもぞと体をよじる。
するりと抜けだしそうなそれをさみしく感じて少しだけ腕に力を入れた。
「・・・も、いいか。」
あっさり、抵抗をあきらめたそれは、あきらめたどころか、まだまだ惰眠をむさぼるかのように、自分の体に擦り寄ってきた。
諦めるの速くないか?
体を動かして、寝やすい体制を見つけたのだろう。
そのまま体をこちらに預けて、これまたあっさり、眠りに落ちた。
うわあ、危機感がないにもほどがあるだろう。
そうは思ったが、その体があまりにもあったかいから、再び眠気に襲われて。
まあ、いいか。
これまた楽観的に思考を巡らせて、同じように彼女に擦り寄る。
体を丸めてすやすやと寝息を立てるそれはまるで猫のよう。
「ほんに、むぞらしか・・・」
ゆるり、襲い来る眠気と戦うこともせず、大人しくそれに従った。
そんな出会い。
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