ドリーム小説
「雨だねえ、」
「雨だっちゃ・・・」
今日は珍しく千歳、・・・千里の部活がないからと放課後一緒に出かけようと話をしていた。
・・・のだが、気がつけば外は雨。
しかも私も千里も、残念ながら傘を持たないとか・・・。
「どうしようか。」
「どげんしよ。」
困ったなあという風に千里が首をかしげる。
なんというか、可愛い。
背が高いのに、この彼氏の動作はなんだかんだで私にヒットするのだ。
「・・・寮やったらすぐ近くばい。・・・来んね?」
雨を見ながらしばし考えて、そうして千里が出した提案に何の不満も持たずに私は頷き返したのだ。
「うわあ、濡れた・・・。」
「、風邪引く前にシャワー浴びなっせ。」
思ったよりも強い雨で、服はなかなかに濡れている。
そこまで寒い時期ではないから助かったが、いつまでもこのままでいては確かに風邪をひく。
渡されたタオルと着替えを手に、あっさり頷いて、シャワーを借りる。
「たいぎゃ、無防備ばい・・・」
小さくつぶやいた千里の言葉は残念ながら聞こえなかった。
「・・・よく考えなくても、この状況は恥ずかしい気がするぞ。」
シャワーを借りて、水気を落として。
・・・ちょっとだけ千里のシャンプーを借りる時は、どきどきした。
タオルで体を拭いてから手渡された服を見る。
・・・シャツだ。
しかも千里のだからなんというか、こう、とてつもなくでかい。
普通の女の子よりいささか小さな体格をしているから、そのシャツは余計に大きくて。
身につければ、下をはいていなくても、ワンピースみたいになる。
「まあ、いっか。」
それよりも千里も濡れていたはずだ。
早く彼にもシャワーを浴びてほしい。
そう思い、乾ききっていない髪をタオルで拭きつつ、千里がいる場所へと戻る。
「ちと、・・・千里、シャワーありがとう。」
だめだ、未だに名前呼びに慣れない。
「千里も、シャワー浴びてきて。」
わしゃわしゃと髪を拭きながら、千里に目を映せば、そこには微かに目を見開いて、そしてほんの少し顔を赤らめた千里がいて。
「・・・風邪ひいたりした??」
普段見ないそんな表情に少しだけ不安になって聞けばふい、と視線を外されて。
「心配なかよ。・・・シャワー浴びてくるっちゃ。まっときなっせ。」
それだけ言うと先ほど私が出てきたところに入って行った。
ソファに座って一息ついて、もそもそと、姿勢を整える。
まだ滴が落ちる髪をぬぐっていれば、がちゃりと扉の開く音。
振り向けば、中から千里が、でてき、て、
「っ、千里、服、服着よう、な?」
慌てて目をそらす。
青みがかったもっさりした髪が、今は水にぬれて柔らかく顔に影を落とす。
なんというか、女の私よりもずっと色っぽい。
それをタオルでぬぐいながらちらり、視線を向けられたのに驚いて、慌てて目をそらして。
下はズボンをはいているが、上半身はなんというか、こう、筋肉がついていて、すごく格好いい。
ぶわり、顔に熱が上がるのを手であおいで必死で隠す。
「どげんしたと?。」
顔をそらしたのに、あっさり、千里は私の横に座るものだから、心臓がどくんと音を立てた。
「千里、服、着て、」
小さくつぶやけばん?と楽しそうに聞き返された。
こんにゃろ、確実に確信犯だろう。
「っ、せんり、ふく!」
きっ、と思いきって睨むように顔を見れば、優しげでいて、艶やかな千里の表情がそこにあって。
その奥に、炎が、あることに、気がついた。
「なあ、。」
そっと、手が伸ばされて、いつもと違う雰囲気に思わず体を震わせる。
「簡単に」
それでもその手は引くことなく、そっと首に、頭に回されて。
「男ん部屋はいるんはあかんばいよ。」
ぐっ、と引き寄せられて、至近距離で呟かれる。
その炎が熱情であることに、気がつく。
「わかっちょる?」
少しでも動けば、唇同士が触れ合う距離で、そこにいるのはいつもの無邪気な千里じゃなくて。
ふるり、体が震える。
と、ぱっ、と手が放されて。
「どぎゃん?わかったばい?」
にぱり、そこにいるのはいつもの千里。
どくん、胸が音を立てた。
どっちが、千里?
どちらも、千里。
自問自答、すぐに帰ってきた自分の中の返事。
にぱにぱ、笑うそれに、ほっとしながら釈然としない。
「・・・千里だけ。」
「ん?」
「男の人の部屋、入るの千里だけだから。」
ふい、と視線を外して、目の前の肌色をちらりと見て、そっとそこに手を触れた。
すごいなあ、本当に、頑張ってるんだなあ。
そう思えるそれをつつ、と人差し指でなぞれば微かに息をのむ音。
何事かと思って見上げれば、そこには、先ほどよりもずっと艶やかな笑み。
「たいぎゃ、はむぞらしかねえ。」
再び伸ばされた手に、間髪いれずに引き寄せられて。
息をする間もなく、唇に感覚。
小さく声をあげれば、さらに深く深く、甘く甘く、ねだるようにふさがれて。
「せ、り、」
つぶやけば、くつり、喉の奥での笑い声が返されて。
「煽ったんは、ばい。覚悟しなっせ。」
さらに強く抱き寄せられて、頭の中は真っ白。
ただ、その強い引力に引き寄せられるように、身を預けた。
彼女が自分の部屋でシャワーを浴びている。
それは男であればきっと誰でも興奮するだろう。
というか、何の抵抗もないそれにいささか不安感。
「もしかすっと、誰にでも、しちょるんか・・・?」
不安を口に出せば、それがざわり、深く入り込んできて。
がちゃり
響いた音にそちらを向けば、ぺたぺたと頭を拭きながらそこから出てくるの姿。
いつもは勝気なその瞳は、水にぬれたせいか、柔らかく伏せ気味で、
と、い、うか、
(たいぎゃ、むぞらしかぁっ!!!)
この部屋には残念ながら女物の服はないわけで。
だから、仕方なしに自分のシャツを貸したわけで、それを着てくるのは当然なことではあるのだけれどっ、
自分のシャツを彼女が着ている。
しかも、ぶっかぶか。
シンプルなワンピースのようなそれ。
シンプルだからこそ、普段は隠れているの体のラインを簡単にうきださせる。
うわああああ、確実に今自分の顔は赤い。
ぶっちゃけめちゃくちゃ、そそる。
「ちと、・・・千里、シャワーありがとう。」
未だに呼び慣れないようで名前を呼ぶたび詰まる。
それもまたかわいい。
「千里も、シャワー浴びてきて。」
うわあ、それは、こう、なんというか、まるで___
赤くなる顔を、必死で隠して、目をそらせて。
心配してくるそれに柔らかく返して。
シャワーを浴びてる間も、のあの姿が頭から離れない。
のいる部屋に入った瞬間、顔を赤らめて視線を外す彼女に、なんかこう、ぷっちんきた。
※※※
ぶっちゃけ男まででもなんでもないただの無愛想なだけの女の子になった。
続きは考えてるけど、書くかどうか未定です。
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