ドリーム小説
配達ギルドのあれこれ
結局皆でそろってカプア・トリムへとたどり着いた。
詳しい説明を求められたレイヴンさんが、一段落できるところで、と港に向かうことを提案したからだ。
おかしい。
予定がどんどん崩れていく。
そのままの流れでなぜか、共に宿に連れていかれて、近況報告会みたいなのが始まった。
ギルドが発足したり、魔導器を調査したり、なんだかよくわからないけれどフェローという何かに会いに行きたいのだとか。
ちなみにレイヴンさんは桃色の子の監視も言いつけられたらしい。
え、ちょっとまって、桃色ってお姫様、だったのか・・・・・・
まあ確かに仕草や言葉使いは確かにいいとこのお嬢様のようだたけれど。
「んで、この手紙をベリウスに渡しに行くのに協力を要請したのが__」
皆の目が一斉にこちらをみた。
あんまり注目されるの好きじゃないんだけどなぁ・・・・・・
「はいはーい、毎度おなじみ配達ギルド”黒猫の足”だよー」
「・・・・・・それだけ?」
いつも長いって言われるからとてつもなく簡略化してみれば、なに、なんでどこか物足りなさそうなかおしてるの?モルディオさん。
「ドン直々のお願いとあっちゃあ、無視もできないんだよねぇ」
ひらひらと手を振って、しょうがなくであることを全面にアピールしてみる。
そうすれば、子供が乾いた笑いを返してくれた。
「ねえ、僕が知ってる配達ギルドは各配達地域が決まってた気がするんだけど・・・・・・?」
「まあ特殊なんだよねぇ、私。とある用事があるから、世界中を飛び回ってて、そのついでに配達もしてるって感じかなぁ」
うちのギルドの仕組み、よく知ってるねぇ〜といいながら子供の頭を撫でてみる。
そうすれば、気持ちよさそうに目を細める子供は__うん、かわいい。
「あ、ねえ、配達ギルドの名前ってなんなの?」
「黒猫の足」
とてつもなく今更な質問をされた。
ので、あえてごまかしてみる。
「いや、ギルド名聞いたんじゃないんだけど・・・・・・」
うん、知ってる。
私の名前を知りたいんだよねぇ。
でもその前に。
「そういえば、名乗ったことないねぇ・・・・・・お互いに」
私の言葉にあわてて声を上げたのは子供。
「僕はカロルだよ!凛々の明星の首領なんだ!」
へぇ、さっきギルド云々言ってたけど、この子が首領になるのか、すごいすごい。
「私はエステリーゼです。エステルって呼んでください」
さすがに皇帝候補をそんな風に呼んだりは__あっ、はい、無言の圧力には勝てないし、権力にはおもねる次第でございます。
「リタ・モルディオ」
天才魔導器少女であり、我がギルドの常連さんは言葉少なに自己紹介。
「ジュディスよ」
ぼんきゅぼんのクリティアお姉さんの名前はジュディスさん、と。
どこに目をやったらいいか、めちゃくちゃ迷いますね。
「ユーリだ」
にぃっとそれはそれは自信満々な笑顔で、黒髪は言った。
さらにその足下にいた犬も立ち上がり、わおんと吠えた。
「こっちはラピードな」
めちゃくちゃ賢いよねこの犬。
そして私なんかよりもずっと強い。
「で、配達ギルドは?」
皆の自己紹介が終わり、一斉に私へと視線が向けられた。
にっこりと浮かべるのは営業スマイル。
「どうぞ、配達ギルド、”黒猫の足”のギルド員です〜今まで通り配達ギルドって呼んでね〜」
別に応えるとは言ってないから。
配達ギルドと自己紹介
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