ドリーム小説
配達ギルドのあれこれ
さてさて、向かうはマンタイク。
宿屋の旦那様にお届け物だ。
そのために通るのはカドスの喉笛。
じめりとした薄暗いそこだけれど、相変わらず携帯結界魔導器ががんばってくれて、魔物はおそってこない。
ちなみに魔物はまだしも盗賊はどうなのだ?とユーリさんたちに以前聞かれたのだけれど、全力で逃げる、以外の方法をまだ見つけてはいない。
薄暗いそこを抜ければ、一気に視界はひらけて。
暑くて乾いていて、人が生きるには苦しいその砂漠。
それでもその場所で人々は生きている。
砂漠にあるオアシスの町、マンタイク。
いつもであれば、生き生きと暮らしている住民たちは、どこか沈んで見えて。
何事かと宿屋の旦那様に聞こうとしても、なぜか騎士が監視のように張り付いていて、好きに話をすることもできない。
どうしたことか。
宿屋の旦那様にお届け物を終えて、どことなく暗い雰囲気の中、町の様子を眺める。
と、ひょこひょこと視界の端に入った海賊ハット。
見覚えのあるそれに、惹かれるようについていけば、測量ギルド”天地の窖”と話す姿。
でも、どことなく様子がおかしくて。
距離をつめれば、小さなその体に放たれる暴言が聞こえてきた。
端から見れば、その様子は子どもをいじめる大人でしかない。
見ていて、気分のいいものでは、ない。
言葉を向けられるパティちゃんに近づいていけば、その側に黒髪がいることに気がついた。
ならば、私の出る幕ではない、だろう。
ユーリさんにそこをまかせて、配達ギルド、マンタイク支店へと足を向けた。
「配達ギルドさん」
マンタイク支店までの道すがら、呼ばれて振り向けば、そこには宿屋の旦那様。
恐る恐る、というように話しかけてきた。
どうしたのかと問えば、砂漠に不慣れな旅人が、砂漠に赴こうとしている、のだとか。
まあ十中八九あの一行だろうなぁ。
「一緒に、いってあげてくれませんか?」
確かに、私は旅慣れしている。
砂漠だって苦ではない。
断って、彼らになにかあるのは、嫌だなぁ。
そう思うくらいには、彼らに情がわいているらしい。
仕方ないな、と頷いて、宿屋の旦那様と一緒に砂漠にはいるための準備を始めた。
配達ギルドと砂漠の旅
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